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キングブラザーズ(King Brothers)@ 京都KBSホール 2017.12.03

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ロックンロールで完璧さ
フォトレポート @ 神戸108 2017.11.24

キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
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キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ

 片山ブレイカーズ主催『都!!モンスタールネッサンス2017』2日目の中盤、キングブラザーズが登場した。「30分しかねぇ、地獄に行こうぜ」1曲目「マッハクラブ」で早々にマーヤ(G/スクリーム)が客席に飛び込む。ギターを搔き鳴らし、叫びながら体勢を機敏に変えながら、四肢を支える客に指示を出す。ケイゾウ(Vo/G)は「もっともっと前へ来い!」と眼を見開いて空を睨みつけ、ゾニー(Dr)は汗を迸らせながら、有無を言わせぬキングブラザーズのロックンロールを叩き出す。

 イベントライヴであろうが、ワンマンライヴであろうが、1曲目からフロアの胸を鷲掴んでしまうバンドが、どれだけ存在するだろうか。 ケイゾウとマーヤが観客に考える間を与えないまま煽り続けていく。音の隙間を埋めるようにゾニーのビートが鼓膜を震わせ、初期衝動は揺さぶられ続けていった。

 「ルル」の中盤でステージから機材を降ろし、観客全員がバンドを囲む。火口のように開いた真ん中で限りある時間の全てを出し惜しむことなく、全力でやり通す彼らのロックンロール。終演後、笑顔と汗に彩られた観客の満足げな様子が、その全てを物語っていた。

 本日、この後京都のウーララにて、もうワンステージを行う。

マッハクラブ / 黒くぬれ! / Kill your idol / Doo Doo Scratch / / ルル


『KING BROTHERS ONEMAN LIVE!!! 2017-2018』
12/16(土) @ 梅田シャングリラ 18:30open/19:00start 
01/14(日) @ 名古屋クラブ・ロックンロール 18:30open/19:00start
02/04(日) @ 下北沢シェルター 18:30open/19:00start
 詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

 


イースタンユース (eastern youth) @ 梅田トラッド 2017.12.03

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今がいちばんカッコいい!
フォトレポート @ 梅田トラッド 2017.12.03

eastern youth
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 イースタンユース(eastern youth)の全国ツアー、「極東最前線 / 巡業2017~おれたちのSONGentoJIYU~」。10本目となる大阪公演が、梅田トラッドで行われた。

 大阪随一のゲイ・タウンと言われる堂山にある梅田トラッドは、今年3月までは梅田アカソーという名称だった。イースタンユースは2014年3月にライヴを行なっているツアー初日から前日の名古屋公演までは、キャパ200人前後の会場を巡っていたが、一気に3倍ほどの広さの会場でのライヴとなった。

 たくさんの観客で埋まったフロアは、今回のツアー中、最高の盛り上がりを見せた。最新作『SONGentoJIYU』の曲も大歓声で迎えられ、村岡ゆか(Ba)へも次々に声援が飛ぶ。9月のアルバム発売以来、ライヴを観るのを楽しみにしていた人が多いことがうかがえた。反応も様々だ。拳を振り上げてバンドと一緒に歌う人が多数いる一方、後方でじっくり観る人、涙を拭っている人も見える。吉野寿(Gt/Vo)はフロアの様子を見て、「俺は嬉しいですよ。なんか全然統一感ない。君たち、統一感ゼロ!」と語れば、大歓声が返ってくる。

 アンコールでは村岡が、かつて自身がイースタンユースの熱烈なファンであり、前回の同会場でのライヴを観客として見ていたことと、いま、ステージに立っているのが不思議な気持ちであることを語る。村岡へ「今がいちばんカッコいい!」と男性客から声が飛ぶと、「そう!」とフロア全体から同意の拍手と歓声が沸く。

「本当はここで、(村岡が)テツandトモの『なんでだろう』の歌をうたうことになっていたんです。ヤダって言うんですよ。なにか、小噺でも」と、吉野がさらに村岡へ喋るように促すと、村岡が千鳥ばりの岡山弁で「面白い話はできんのじゃ!!」と返し、そのまま観客の笑いを遮るように曲になだれ込んだ。おなじみ、アンコールで素朴なMCを続ける村岡と、もっと喋れと促す吉野のやりとりに、新たな展開が生まれた瞬間だった。

 10月の千葉公演から、この大阪公演まで、イースタンユースは「今がいちばんカッコいい!」と断言できるツアーを続けてきた。ラストは12月9日(土)、渋谷ツタヤ・オー・イースト。彼らのいまの姿を、ぜひ見届けてほしい。

 


極東最前線/巡業2017~おれたちのSONGentoJIYU~

 
10月21日(土) 千葉 LOOK
10月28日(土) 札幌 cube garden
10月29日(日) 弘前 Mag-Net『弘前Mag-Net20周年記念』
11月 4日(土) 京都・磔磔
11月11日(土) 仙台 CLUB JUNK BOX
11月12日(日) 新潟 CLUB RIVERST
11月25日(土) 岡山 ペパーランド
11月26日(日) 福岡 DRUM Be-1
12月 2日(土) 名古屋 APOLLO BASE
12月 3日(日) 大阪 umeda TRAD
12月 9日(土) 渋谷 TSUTAYA O-EAST

キングブラザーズ(King Brothers)@ 京都西院ウーララ 2017.12.03

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決然とした青い炎
フォトレポート @ 京都西院ウーララ 2017.12.03

キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ

 例えば、日中見たホールの眩いライティングの中で観客に支えられ、中指を立てて吠えるマーヤ(G/スクリーム)の姿は神々しい。それは、全方位を巻き込みながら放射される熱量を目の当たりにする瞬間でもある。

 この日2ステージ目の彼らも、また異なるベクトルで観衆を巻き込んでいった。「お客さんももっとおかしくなりたいでしょ、ゾニー真ん中でぶっ叩いてくれよ」2曲目「魂を売り飛ばせ!!」の途中ケイゾウ(Vo/G)の一言でドラムセットがフロアの中央に移動される。天井の照明は落とされ、ただひとつの灯に照らされたゾニー(Dr)の叩き出す音に空気が振動するのを肌で感じる。ケイゾウは歌の途中であってもの周囲を取り囲む観客へ感情をぶつけ続け、観客は歓声でそれに応えた。そしてマーヤは、ただひたすらにギターをかき鳴らす。まるで、地の割れ目から静かに高温で燃える青い火のように。

「Paint It Black!!」のゾニーが牛耳るグルーヴに2本のギターが呼応し合う中「何もかも黒く塗りぶせ / 光を闇に変えてしまえ」と歌われる歌詞の凄みを目撃した観客のボルテージも、上がっていく。

 最後の曲「ルル」でようやくマーヤが口を開く。「ウーララ丸い円になれます?俺を高速で回してくれ」バンドを中心に次々と観客に受け渡されながらスクリームし続けるマーヤ。今を盛りと言わんばかりに暗闇に轟々と燃え盛る炎のようなバンドの、真骨頂を見た夜だった。

— set list —
Big Boss / 魂を売り飛ばせ!! / spaceship / Paint It Black! / KILL YOUR IDOL / ルル


『KING BROTHERS ONEMAN LIVE!!! 2017-2018』
12/16(土) @ 梅田シャングリラ 18:30open/19:00start 
01/14(日) @ 名古屋クラブ・ロックンロール 18:30open/19:00start
02/04(日) @ 下北沢シェルター 18:30open/19:00start
 詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

 

朝霧ジャム – イッツ・ア・ビューティフル・デイ! @ 朝霧アリーナ 2017.10.07 – 08

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総論 – 笑顔と、緩やかな熱さあふれる2日間
特集 「総論 ‐ 笑顔と、緩やかな熱さあふれる2日間」in 朝霧ジャム – イッツ・ア・ビューティフル・デイ! @ 朝霧アリーナ 2017.10.07 – 08

Txarango

 最近、音楽との付き合い方が変ってきたなぁと感じる。かつては、自ら財と時間を存分に投じて、自分の音楽を見つけるべくとことん追い求めていたが、一切その気負いが無くなった。歳を重ねるごとに、自分の”欲”を満たすというものに対する関心が無くなってきたということなのだろう。

 今年はそんなところからやってきた朝霧ジャム。去年までは出演するアーティストを隅々まで調べ上げてから参加したが、そういうことももう止めた。「知っとくべき」、「調べねばならない」というところからでは音楽を純粋に楽しめない。出演アーティスト/バンドが誰であろうが関係ない。ただ、あの唯一無二の空間で音楽を心ゆくまで体感しに行くだけだ。

 朝霧ジャムは、雄大な富士山を一望できる静岡県富士宮市の朝霧アリーナで2001年から開催され、今年で16年目を迎えるフェスティバルだ。参加者のほぼ全員が、テントを張ってキャンプし2日間を過ごす。キャンプをゆったりと楽しむことを主眼においたフェスということで、ライヴのタイムテーブルも本数に考慮し、ゆったりと組まれている。仲間とのキャンプが楽し過ぎてライヴを観るのを忘れちゃった人が続出という、そんなゆったり感、まったり感満載のフェスなのだ。

Suchmos

 朝霧アリーナが、フジロックの候補地だったという話をご存知だろうか。直撃した台風のため、二日目がキャンセルとなった富士天神山スキー場で開催された第一回目のフジロック。翌年、富士天神山スキー場スキー場での開催ができなくなった時点で浮上した、候補地のひとつだったのだ。フジロックという名にふさわしい富士山を望む絶景。あの規模で、ここで富士山と対面して自己表現するアーティストの高揚感は、計り知れないものがあったことだろう。ま、そんなことを夢想したところでしょうがない。フジロックは、フジロック。朝霧ジャムは、朝霧ジャム。それぞれの空間を存分に味わい、楽しみ尽くすことだ。

 さて、本題の今年のライヴの話に移ろう。朝霧ジャムの“ジャム”というキーワードは、ジャム・バンドに代表される即興的演奏の“ジャム・セッション”とは趣旨と異なる。込められているのは、ジャンルレスに様々なミュージシャンが集い、音楽を楽しむというコンセプトだ。「こういうジャンルしか聴かない!」という人こそ朝霧ジャムを体感してほしい。単にジャンルレスだけではない、朝霧ジャムならではの“緩さ”が加味された音空間は、「あれ?この音、普段聴かないけど何か良いぞ!?」という目からうろこ体験をすること請け合いだ。

Martha High with Osaka Monaurail 初日のレインボー・ステージ、のっけの3連発に今年の朝霧ジャムの見せ場が訪れた。今年で25周年をむかえる浪速のファンクバンド、オーサカ=モノレールと“ソウル/ファンクのゴッドファーザー”ことジェイムズ・ブラウンのバックシンガーを30年強に渡り務めたディーバ、マーサ・ハイによるマーサ・ハイ・ウィズ・オーサカ=モノレールの激アツコラボステージを皮切りに、今もニューヨークの中心で歌を届け続ける、ベテランシンガー・ソング・ライターのガーランド・ジェフェリーズがじんわりと感動で会場を包み、箸休めの暇なくウィルコ・ジョンソンが激アツのギターフレーズの弾丸を飛ばしまくった。もうこれだけで満腹。大満足だ。

 同時間帯のムーンシャイン・ステージも負けてはいない。ソイル(・アンド・ピンプ・セッションズ)の秋田ゴールドマン、ヨシダダイキチ、濱元智行、そしてボアダムズ・OOIOOのヨシミオの4人で結成されたサイコバブが奔放なステージを繰り広げ、“YMO第4のメンバー” 松武秀樹によるロジック・システムがモーグ・シンセサイザーを操り、温故知新な音でオーディエンスを魅了。フジロックのルーキー・ステージ出演以降、出世街道まっしぐらなダンが会場をダンス・フロアにし、続く北アイルランドはベルファストからの刺客、バイセップの登場でダンが温めたフロアを更に加熱した。
 
Belle and Sebastian 日も暮れたレインボー・ステージでは、14年振りにこの地に戻ってきたエゴ・ラッピンが、中納良江節満載のエネルギーに満ち満ちたステージを披露し、裏のムーンシャイン・ステージでは、英国産ポスト・ダブステップの雄、マウント・キンビーがダークな質感から遊び心に満ちたものまで多様な音像でめくるめく音世界を創出した。マウント・キンビーからバトンを受け取ったデトロイト・テクノ第2世代を牽引したカール・クレイグが誰もが知るクラシックのフレーズをフックに駆使し、集ったビートマニアを唸らせ初日のムーンシャイン・ステージを締めくくった。レインボー・ステージ初日のトリは、スコットランドはグラスゴーのベルセバことベル・アンド・セバスチャンだ。行き交うバスを見て、「あのバスを見てよ!僕、バスが見るのが好きなんだよ」と無邪気にはしゃぐフロントマンのスチュアート・マードックや、オーディエンスをステージに上げて一緒に楽しそうに演奏する様はいつ観ても微笑ましく、彼らが醸成するポップ感と相まって、とても幸せな気分にさせられる。朝霧ジャム初日を一転の曇りもない完璧な空間に仕上げて、幕引きを行った。

 初日の終演後の時間が、朝霧ジャムのお楽しみのひとつだ。今年は天候に恵まれ、数年ぶりにレインボー・ステージ前の焚き火も復活し、囲んで談笑している。何とも親密な時間だ。闇夜にくっきりと浮かび上がる富士山が、幻想的で本当に美しかった。

Txarango 2日目は恒例のラジオ体操からスタート。快晴で今年は2日目のレインボー・ステージ1発目を飾る、DJみそしるとMCごはんとケロポンズによるスペシャルユニット、DJみそしるとMCごはんのケロポン定食も参加し、ゆっくりと朝霧アリーナ一帯が目を覚ます。ラジオ体操後ゆるりとライヴが開演し、キッズの笑顔や楽しむ姿満載の、この上なく平和な幕開けを演出した。続いて登場したのは、今年の朝霧ジャムのハイライトといっても過言ではない、チャランゴだ。昨今スペインからの独立問題で揺れる、カタルーニャ自治州出身のバンド。とにかく盛り上げ上手。総勢10名が一体となって、縦横無尽に前進で表現し尽す。発散される熱量がハンパないステージを繰り広げてくれた。3番手としてヨギー・ニュー・ウェーブスが顔を見せ、真夏のようなぎらつく太陽の中、いつも以上に熱を帯びたシティ・ポップでオーディエンスの体を揺らし続けた。

 ムーンシャイン・ステージでは、三船雅也と中原鉄也によるロット・バルト・バロンがオープニングアクトとして登場。ベース、キーボード、バイオリン、トランペット、トロンボーン、計5名のサポートメンバーとともに、極上のサイケデリアを醸成した。続くは、思い出野郎Aチームが揃いのジャージに身を包んで登場した。ボーカルの高橋一はダミ声で歌詞の一部を朝霧仕様に変えて歌い、オーディエンスの笑いを誘い、お得意のファンキーなグルーヴにムーンシャイン・ステージはディスコさながらのダンスパーティー会場と化したのだ。

Chon 10年ぶりの登場となるウーアを見ようと大勢のオーディエンスが押しかけた、昼下がりのレインボー・ステージ。不思議な衣装とお茶目で飾り気一切なしの言動、そして魂の込められた圧倒的な歌に酔いしれた。同時間帯のムーンシャイン・ステージでは、ジズーと、チョンの2組のインストゥルメンタル・バンドが続けて登場。ベース、ギター、ピアノ、ドラムの4名で構成されたジズー。朝霧ジャム初登場にして、ジャズを基調に確かなミュージシャンシップとともに出力される力強い音の塊に、オーディエンスはただ身を任せ揺れていた。アメリカはサンディエゴ出身のマスロックバンド、チョン。こいつらは凄かった! 2本の超絶“バカテク”なギターが渦巻く圧巻のグルーヴに、居合わせた全員がただ息をのみ聴き入るしかなく、完全にノックアウトされたのだ。

 ムーンシャイン・ステージでのチョンの怒涛の演奏が繰り広げられていた中、レインボー・ステージでは、長岡亮介(ヴォーカル/ギター)、川村俊秀(ドラム/コーラス)と三浦淳悟(ベース/コーラス)による3ピースバンドのペトロールズが、しっとりと心地よい時間を演出していた。寂しいが、いよいよ今年の朝霧ジャムも終盤にさしかかって来た。今をときめくチャンス・ザ・ラッパーと、同郷のシカゴシーンから飛び出した新世代ラッパーのノーネームが、ムーンシャイン・ステージに登場。ノーネームの、今ここをオーディエンスと分かち合い楽しむ姿に、みるみるうちに空間が笑顔で埋まっていった。そして、レインボー・ステージでは、昨年のタイコクラブで初来日にして、会場を盛り上げまくったマイク・ファビュラスによるプロジェクト、ロード・エコーが、メロウかつジャジーに心地よいバックビートを伴って、粋にオーディエンスを踊らせた。2日目のムーンシャイン・ステージのトリをつとめたのは、デトロイトに拠点に活躍するDJ / プロデューサーのセオ・パリッシュ。独自の音楽哲学に基づいた黒いグルーヴに、オーディエンスは徹頭徹尾ただただ身体を揺らし続けた。

 完全に陽も落ち、テントを撤収した人も傾斜でまったり見ている人もいる中、今年の大トリのサチモスが満を持して登場! 2年振りの朝霧出演にしてヘッドライナーという飛ぶ鳥を落とす勢いの彼ら。今年の朝霧ジャムの締めくくりにしてフェス・シーズンの終わりを飾るに相応しいステージで、オーディエンスを圧倒したのだった。

 これで、今年の朝霧ジャム特集は完了だ。姉妹サイトのフジロッカーズ・オルグでは、ふもとっぱらキャンパー&わんちゃん連れパーティの取材記事や、会場で出会ったインターナショナルな皆さん特集キッズランド・レポートに、子連れフェス体験記と音楽だけではない、朝霧ジャムの魅力をこれでもかと紹介している。今年の朝霧ジャムを振り返ってニヤニヤしていただきたい。では、来年また朝霧の地で!

Belle and Sebastian

Photos:Sayaka Yuki / Masahiro Saito / Sayaka Yuki / Masahiro Saito / Sayaka Yuki / Shinya Arimoto / Masahiro Saito ※上から順

クロッケンフラップ(Clockenflap) @ 香港セントラル・ハーバーフロント・イベントスペース 2017.11.17-19

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煌くビルの間で
テキスト・レポート「煌くビルの間で」 @ 香港セントラル・ハーバーフロント・イベントスペース 2017.11.17-19

Clockenflap

 今年もClockenflap(クロッケンフラップ)にいってきた。香港の中心地で3日間にわたっておこなわれるフェスティバルである。チケットについてなどは、一昨年のレポート昨年のレポートを参照してもらいたい。基本的には大きく変わらない。

Clockenflap 今回感じたのは、いろんなところが後退しているな、ということで、DJブース(いくつかあった中のひとつ)や演劇やヴァーチャルリアリティが体験できるようなエリアがカットされていた(昨年それらがあった場所は空き地になっていた)。飲食店も減ったうえに同じくチェーン店がいくつかの場所に出店していて種類も減った。経費の節減なのかその他いろいろ残念に思うところはあった。

 香港の街全体もそれまでと比べて後退しているのではと感じた。それでも、ライヴ自体はそれを吹き飛ばすような素晴らしいものが多く楽しめたのだった。

 会場は昨年と同じく香港島のセントラルで、スターフェリー乗り場に近いところだった。地下鉄の駅も徒歩で利用できるし、ショッピングモールもいくつかある。そして周りは高層ビルに囲まれ、海を挟んで対岸にもきらびやかなビルがみえるというロケーション。究極の都市型フェスであることは変わりない。

Clockenflap ステージは、大きなもの(朝霧JAMのレインボーステージくらいの大きさ)が2つ、レッドマーキーくらいのステージがひとつ、DJブースが2つである。会場はコンパクトにまとまっていて歩き疲れるということはない。

 金曜日はあまり混んでない(仕事からスーツで直行みたいな人がいる)けど、土日は混んでいた。だけど、飲食やトイレですごく並ぶということもなく快適に過ごせるといっていい。

Clockenflap ごみやトイレのマナーはそんなによくない。清掃の人が回っているので、最悪にはならないという感じ。お客さん同士の雑談はすごくて基本的に仕事で駐在している欧米人や地元の富裕層の社交の場になっていてステージ前でも、喋ったり、仲間で自撮りしたり、友人を紹介して輪が広がっていく姿に当たることになる。真剣にバンドに集中したければ、最前か周りに人がいない後ろで聴くしかない。

 あと、荷物チェックは割と厳しく、飲料の持ち込みはダメ、それと今年は雨傘もダメだった。香港で雨傘禁止とは。会場に行くまではどうするのだろうか(ただツイッター情報では雨が降りだしたら、主催者がポンチョを配布していたとの書き込みがあった)。

■フェスごはん

Clockenflap 先述の通り店の種類が減って、例年楽しみにしていたものがなくなっしまったけど、それでも旨いところは旨かった。ただし、会場内のビールや食べ物は高い(ビールで約1000円)。水はタダで飲めるけど。会場をでれば酒税のない香港では安い酒も食べ物もいくらでもある。

Clockenflap 場内の飲食店はいかにも中華というものはあまりなく、ピザ、ハンバーガー、タイ料理、メキシカンが目立っていた。その中でもタイカレーは質量ともになかなかのものだった。ビールはカールスバーグとクローネンベルク。

 ライヴ開始は金曜日が夕方、土日が昼過ぎからで、市内で観光やショッピングしてから現地にいく余裕がある。終わりの時間も公共交通機関が動いているので、香港の中にいれば十分に帰ることができる。

■初日はカイザー・チーフスが貫禄をみせる

Clockenflap 初日のヘッドライナーを務めたのは、カイザー・チーフスで、オーソドックスなUKギターロックを聴かせてくれた。ヴォーカルのリッキー・ウィルソンがステージ上を駆け巡り、元気な姿をみせる。代表曲は大合唱になり、やはりイギリス出身のお客さんが多いことが伺える。また日本でも観たいと思わせた。

■2日目はブートレグビートルズが盛り上げる

Clockenflap 2日目は、ビートルズのトリビュートバンドであるブートレグ・ビートルズが圧巻のステージだった。初期から後期までちゃんと衣装も変えながら完全再現する。顔や声まで本人たちに似ていて、よくこのメンバーを揃えたなと思う。どうやらスタジオミュージシャンを集めたようで、1980年から活動を始めているけど、オリジナルメンバーは誰もいない。演奏されるのはビートルズの王道の有名曲ばかりで、お客さんも盛り上がる。ライヴの中盤に初期から後期の衣装替えがあるのだけど、ポール役の人がひとり残ってアコースティックギターで弾き語る。あのイントロから客席が「Yesterday?」と歌いだす。するとポール役の人が「声が小さい、もう一回」とやり直す。あのイントロから「In the town where I was born~」とポール役が歌うと客席は大爆笑。そして客席でみんな「イエローサブマリン」を合唱する。もちろん「イエスタディ」をやり直してから後期の曲に入っていった。

また、サハラ砂漠の遊牧民、トゥアレグ族によるティナリウェンも盛り上がっていた。こういうアフリカのミュージシャンも毎回このフェスに呼ばれている。

■3日目はマッシヴ・アタックが圧巻のステージ

Clockenflap 3日目はロンドン発ナイジェリア人女性がリードヴォーカルを務めるイビビオ・サウンド・マシーンが気持ちのいいファンクを聴かせてくれて盛り上がった。来日公演直後のテンプルズもサイケデリックなサウンドは極上の響きで、煌めくビルの間で観る彼らも素晴らしかった。そして、なんといってもマッシヴ・アタック。最高だった。現地の言葉なんでよくわからないけど、スクリーンには毎度おなじみ時事ネタも絡めてのメッセージも強力。MCでちょろっと香港が独立したところであるようにというようなことをいっていた。

 やっぱりロケーション、アクセス、バンドがすばらしいので、長く続くフェスになることを願いたい。すでに来年は11月9日から開催されることがアナウンスされている。

Clockenflap

写真:イケダノブユキ

イースタンユース (eastern youth) @ 渋谷ツタヤ・オー・イースト 2017.12.09

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俺から、おれたちへ
テキストレポート「俺から、おれたちへ」 @ 渋谷ツタヤ・オー・イースト 2017.12.09

eastern youth

 イースタンユースの現体制初のリリースとなった最新アルバム『SONGentoJIYU』(ソンゲントジユウ)を携えた全国ツアーが、12月9日、渋谷ツタヤ・オー・イーストで最終日を迎えた。フロアいっぱいの観客の期待が満ちるなか、18時10分、メンバーがステージに登場。SEは、吉野の宅録によるインスト曲。タイトルは未だついていない。5年前に吉野が次作のソロ・アルバムに収録するために録音し、後に「テレビ塔」の原曲となった曲である。吉野は「テレビ塔」のイントロによく似た寂寞感のあるSEの響きを、静かにギターをつま弾き繋ぐ。1曲目、「ソンゲントジユウ」の冒頭の金属音を奏で始め、村岡ゆか(Ba)と田森篤哉(Dr)が加わると、流れに呼応するように、歓声が沸き上がる。

 ライヴは『SONGentoJIYU』を軸として進行する。冒頭5曲は、同アルバムの1〜5曲目が収録順に演奏された。曲間の静寂を吉野のギターが繋ぎ、次の曲が演奏されるたびに歓声が返ってくる。まるで『SONGentoJIYU』を初めて聴いたときに抱いた、感嘆や驚きをなぞっていく心持ちになる。挑むように前を見据えて歌う吉野。泣き出しそうに揺れ、ときに全てを絞り出す絶叫で胸を締め付ける、人間味溢れるボーカル。割れた爆発的なギターの響きの中に、鋭利なリフとフレーズがキラリと光る。それを支える田森のドラム。きらびやかな疾走感からパワフルな重量感まで、ステージの中心でどっしりと構え、華やかに描き出す。

eastern youth

 村岡はイースタンユースの特色のひとつであるメロディアスなベースラインを『SONGentoJIYU』の楽曲でも継承しつつ、粒の揃った豊かな低音で紡ぎ出す。2曲目の「明けない夜はないのだ」からは、コーラスでメロディーに広がりも与えていく。「ちっぽけだって、なんだっていいから、歌を俺にくれ」で彼女が歌うパートの叙情。「なんでもない」の底に流れている哀しみに寄り添う、深いやさしさ。吉野と田森のプレイに絶妙に溶け込みつつ、加入当時よりさらに生き生きと、彼女ならではの存在感を示していく。

「同調回路」は、吉野が全方位へ向けた激情で圧倒。独創的なギター・ソロも、切れ味抜群。ギターのネックをマイクスタンドに滑らせ、攻撃的なノイズを発する間奏は、序盤のハイライトとなった。終わるなりフロアから盛大な拍手と歓声が返ってくる。その歓声が落ち着いたところで、吉野が観客に挨拶し、語り始める。

eastern youth

「短い旅でしたけれども、一応シューっとひと筆、日本列島シュルっと、いろんな人に会ってきました。いろんな人がいましたけれども、概して皆さんと同じような雰囲気の、統一感のない、悪い言い方をするとロック度の低い、ね。(観客爆笑)でも僕はね、嬉しいですよ。そのほうが。全会場で言いましたけど、ロックだからって、みんなこんなこと(振り付けのような身振り)したりとか、……してもいいですよ。してもいいんだけど、みんなでやるこたぁねえでしょうが。なんの儀式ですか? っていう。儀式じゃない。音楽だから」

「盆踊りとか楽しいですけどね。みんなで同じフリとかやるから。確かに楽しいのはわかるんですけど、バラバラでいいんじゃないかと思ってるということ。みんなバラバラになっていがみ合え、戦いだ! って言ってるわけじゃないからね。みんなそれぞれ、楽しんでいただければ」

「(フロアで)グルグル回ってみるか!」「あと45分ぐらい喋って、120曲くらいやりますんで」なんて、冗談も飛び出し、フロアは笑いとともに和む。その空気は次の曲「青すぎる空」のイントロが鳴ると、キリリと引き締まる。中盤は代表曲が続く。「裸足で行かざるを得ない」「素晴らしい世界」「踵鳴る」と鉄板の流れで、観客の歌声とともに進む。吉野のテンションと、現在のバンドの好調さを克明に描き出すアンサンブルは、ますます研ぎ澄まされる。

「踵鳴る」から間髪入れずに「旅の空」。吉野はAメロで大きな手振りとともに緊迫感あふれる熱演を見せ、合唱風のサビでは一緒に歌っている人が多く見えた。「グッドバイ」の壮大なスケール感、「矯正視力〇・六」に込められた情感も相変わらずグッとくる。「矯正視力〇・六」は、村岡のコーラスもよく響いていた。演奏後に村岡への声援を送りかけた男性客と吉野のギターがかぶり、吉野が「すいません、どうぞ」と観客にゆずる場面も。すると村岡へ「かわいい!」と声援が送られ、村岡は笑顔で手を振って応える。次々に吉野へも「かわいい!」、田森には「カッコいい!」と声援を送る観客がでてくる。吉野は「うれしい! けどそんなお言葉を求めてない!」と返しながら、声援を受けてもクールな田森の様子を真似したりして、笑いが起こる。

eastern youth

「泣きてえこともいっぱいあったよ。言わねえだけ」「みんなでニコニコ、わはははは、なんて言ってたって、月曜の朝の顔なんて、鏡じゃ見れませんよ。新聞見てもテレビ見ても、泣きたくなるようなことばっかりだ。泣いてても始まらねえから、口笛吹いてまた行くかってとこですよ」

 疾走感に満ちた「口笛吹いて駆け抜けろ」。間奏のベースが主旋律となる部分では、吉野のカウントとともにローディーの上甲氏が向かって右側のギター・アンプのツマミを操作し、音色に変化が出る。この曲の隠れた見どころだ。

「味噌、醤油、愛してる。生まれたこの場所が大好きですよ。愛してる。それでも俺の心の中には、俺の魂があるだけ。『日本の心』なんてものは、ひとつもねえ。俺の心があるだけ。俺はおとぎの国の住人じゃねえんだ。探しているものは、そんなもんじゃねえんだ」

 低めの声で凄みのある独白から「おとぎの国」。MCの緊張感を保ちつつ、曲調がスリリングに展開していく。吉野がまっすぐ歌う出だしから、カタルシスあふれるサビまで、とてもライヴで映える曲だ。

eastern youth

「いろんな人がいるよね。パッと見りゃ、すごいたくさん人がいますよ。(フロアから)群衆って言うくらいの人が、なんか知らないけどこっちを見てます。なんで見てるんだろうって思いますけど、言うまでもなく、ただの肌色じゃねえんだぞってことですよね。オギャーで始まって、授乳してもらって、離乳食を食べて、オムツを替えてもらって、いっぱしの口を聞くようになって、学校行ったりやめたりして、働いたりクビなったりして、ボーナスをもらったりもらわなかったりしてさ、あの手この手で生きてきましたよ」

「だからバラバラなの、あたりまえですよ。そこがいいところじゃないの、と私は思ってますよ。バラバラだからだこそ、分かり合えるでしょうが」「だけど一個の言い方みたいなものに、ぎゅっと押し込もうっていう魂胆が、気に入らないね。ほっといてくれ。ですからみなさんにどうしてくれって言うのは、俺は何ひとつ望んでいませんけど、ここから先も、俺は俺だよ。君が君であるように、俺は俺で、お前はお前。まあ要するに、俺とお前で、『おれたち』ってことだよ」

 そう語って始まった「おれたち」。息づいているのは、吉野がインタビューでも語っていた、自身が個として生きていくことと、同じように個として生きる他者に対しての大きな受容と肯定である。「俺」から「おれたち」へ。1曲目の「ソンゲントジユウ」で「どんな時だって俺は俺さ」と自身の尊厳と自由を高らかに宣言した吉野が、フロアの観客一人ひとりに、いろいろあるけど、「ありのまま、そのまま」の「おれたち」として、なんとかやっていこうぜ、と語りかけていくような、今ツアー最大のクライマックスだ。終盤、吉野が生き生きとした表情でカポをギターのネックにつけるとダイナミックに転調し、村岡のコーラスが加わると、さらなる高揚がやってくる。

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 続く「夜明けの歌」「街の底」も冴え渡り、本編を駆け抜ける。「街の底」の間奏では、吉野はステージ中央で掛け声を上げながら柵前ギリギリのところまで踏み出し、前のめりになり、観客も吉野に向かって大歓声を送る。翻って、舞うように両腕を広げて歌う吉野の姿は、自由そのものだった。

 アンコールでは村岡が語る。「今年はアルバムを作ることもできましたし、こうして無事ツアーの最後の日も迎えられて、おかげさまで、ありがとうございました。今年の経験で、ちょっとイースタンユースのベースとして自信がついたので、来年はもっとがんばります」。いつもどおり謙虚なお礼と、頼もしい抱負の言葉。フロアから惜しみない拍手が送られるなか、吉野は「沸点36℃」のイントロを切り込む。ステージを勢いをつけて飛び跳ね、渾身のパフォーマンスで締める。

 2度目のアンコール前のSEは、ツアー全会場でザ・モップス(The Mops)の「たどりついたらいつも雨ふり」が流れていた。会場によってアンコールを求める拍手が、アップテンポな曲のリズムとシンクロする日、しない日があり、弘前公演以降、メンバーはステージ袖で「今日は合ってるね」「今日はリズムに流されないね」とニコニコしながら観客の拍手に耳をすませていた。この日はバッチリシンクロして弾むような拍手の中、メンバーは三たびステージに登場。吉野は観客に何度もお礼を言いながら、田森にMCを振る。

「えー、こんばんは。いま何か喋れって言われたんですけど、私のほうからお伝えすることは何も。ツアーをまわってきましたけど、まあまあでした。来年は自分も御歳50になって、吉野くんと会ってから40年です。イースタンも30年なんで、まあ特別なことはなにもないんですけど、また極東最前線を開催すると思いますので、来てください。今年はどうもありがとうございました」

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 滅多にお目にかかれない田森のMCに、観客は大喜び。飄々と語る田森の一言ごとに歓声が沸く。最後に田森が立ち上がって手を振ると、会場は大きな拍手に包まれた。

 ツアーのレポートをご覧になった読者のなかに気づいた方がいるかわからないが、田森は京都公演からシンバルの位置を、かつてのように高めにセッティングしていた。10年以上前まで、高い位置にあるシンバルをダイナミックに叩く姿が、田森のトレードマークだったのだ。「今でもいろんな人から、それを言われるんだよね」と田森は語っていた。密かな変化は、ツアーに足を運んでくれた観客への気持ちの表れだろうか。その心意気が、じわりと温かい。

 ダブル・アンコールは「夏の日の午後」。フロアからの合いの手も勢いを増し、コーラスでは大きな歌声が演奏と重なる。吉野は何度もギターを高く掲げ、斬りつけるように振り下ろし、アウトロが終わらないうちから沸き起こる歓声が、ラストを盛大に飾った。

「今日は本当にどうもありがとう! また会う日まで!」

 満場の拍手を受けながら、去り際に吉野はステージ中央でお辞儀をして、10月21日から続いた全国ツアーが終了した。同日、2018年4月20日(金)、渋谷クラブクアトロでゲストにモロハ(MOROHA)を迎え、「極東最前線」が開催されることが発表された。イースタンユースとモロハの共演は、チケットがソールド・アウトとなった2016年3月の渋谷ツタヤ・オー・ネスト以来。先行予約は12月17日(日)まで、公式サイトより受け付けている。

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<– 12.03 大阪 |

 

–>フォトレポート

–>テキストレポート「響きとうねり」


— set list — (eastern youth)

ソンゲントジユウ / 明けない夜はないのだ / ちっぽけだって、なんだっていいから、歌を俺にくれ / なんでもない / 同調回路 / 青すぎる空 / 裸足で行かざるを得ない / 素晴らしい世界 / 踵鳴る / 旅の空 / グッドバイ / 矯正視力〇・六 / 口笛吹いて駆け抜けろ / おとぎの国 / おれたち / 夜明けの歌 / 街の底

— encore —
沸点36℃

— encore 2 —
夏の日の午後

 


極東最前線/巡業2017~おれたちのSONGentoJIYU~

 
10月21日(土) 千葉 LOOK
10月28日(土) 札幌 cube garden
10月29日(日) 弘前 Mag-Net『弘前Mag-Net20周年記念』
11月 4日(土) 京都・磔磔
11月11日(土) 仙台 CLUB JUNK BOX
11月12日(日) 新潟 CLUB RIVERST
11月25日(土) 岡山 ペパーランド
11月26日(日) 福岡 DRUM Be-1
12月 2日(土) 名古屋 APOLLO BASE
12月 3日(日) 大阪 umeda TRAD
12月 9日(土) 渋谷 TSUTAYA O-EAST

ザ50回転ズ @ 渋谷クラブクアトロ 2017.12.03

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ポップな学園に入学だ
テキスト・レポート「ポップな学園に入学だ」 @ 渋谷クラブクアトロ 2017.12.03

50kaitenz

 アンコールの演奏が終わり、アン・ルイスの「グッド・バイ・マイ・ラブ」が流れる。あまりに若々しくてかわいい声なんでアン・ルイスが歌っているとは思わなかった。ライヴ後の喧騒の中でこの歌が流れることが、この日の50回転ズのライヴにふさわしいと思えた。

 甘酸っぱく、切なく、ノスタルジック。バンドはそれらに疾走感を加えて駆け抜けた。ライヴの中盤に披露された新しいアルバム『ザ50回転ズ』からの曲は、ダニーが「学園モノ」と称したように、彼らでさえすでに失いつつある「若さ」を甘酸っぱく再現、もしくは仮想した世界を作ったのだった。

50kaitenz こうした世界はもともと50回転ズにあるさまざまな要素のうちのひとつで、彼らが敬愛するラモーンズもポップさをこよなく愛するバンドだったのだ。そうしたセンスをきちんと受け継いでいるのだ。この日披露された曲たちは、ポップセンスがいい具合に熟成されたと感じる。

 そうした「11時55分」(新曲)「純情学園一年生」(新曲)と「Please Don’t Say」「あの日のロックンロール」の既発曲の組み合わせは絶妙で、「涙のスターダスト・トレイン」から加速した終盤の定番「YOUNGERS ON THE ROAD」「MONEY! MONEY!」「おさらばブギウギ」の盛り上がりにつなげていったのは見事である。

 話はライヴのスタート時点に戻る。程よく埋まった渋谷クラブクアトロは、彼らと共に年をとった人、その人たちが連れてきた子どもたち、若くしてファンになった人など年齢の幅も広く、曲によっては最前列でモッシュやダイブも起きたのだった。ステージには『グッバイ・セブンティーン・ツアー」に因んで「17」という数字のフィギュアがアンプの上に置かれている。ステージ背後の50回転ズのロゴは光ったり消えたりする。

 いつものようにドクター・フィールグッドの「ライオット・イン・セル・ブロック・ナンバー9」で入場し、まずは「Vinyl Change The World」でライヴが始まる。この曲もノスタルジックに走りだすものだ。続く「ハンバーガー・ヒル」は新曲で哀愁を含んだソリッドなロックナンバー。

50kaitenz ここまできてようやく自己紹介の曲、「50回転ズのテーマ」。間髪入れずに「1976」と続く。リズムに乗って今回のツアーはアルバム発売のツアーであること、9年ぶりのフルアルバムdあること、それまでの歩みをコミカルに話す。また50回転ズのヒットパレード(ん?)もやると宣言。新旧取り混ぜたステージとなった。

 すでにベテランといってもいい年齢になり、ライヴの場で鍛えられ、お客さんとの呼吸も抜群である。歌詞に「渋谷」と入れてフロアから歓声を上げさせる。「Killer」のエンディングでは長くギターソロをやってから、「これは俺たちワンマンライヴって聞いてたんですけど? このあとのバンドが楽しみですか? このあとに誰もでませんよ! 体力温存してる場合か!」とダニーは煽る。

50kaitenz 新曲「新世界ブルース」は「天王寺エレジー」や「アタイが悪いのサ」の系譜に連なる演歌テイストが沁みる。「デヴィッド・ボウイをきどって」はドリー作のポップで軽快な曲である。ボウイはボウイでもBOOWYを思わせるようなポップセンスとスピード感あるロックの爽快さが両立している。

 定番の「Mr.1234 Man」「サンダーボーイ」「グローリー・グローリー」でしっかり盛り上げて、中盤から終盤につなげていったのだ。

 アンコールは、新曲「あの日の空から」と定番「ロックンロール・マジック」。ロックンロールの夢の余韻の中、アン・ルイスの曲がフルコーラスで流れた後の話は、まだツアー中なのでとっておこう。いえることは、まだ帰るなということだ。

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Photos by Yoshihito KOBA

イースタンユース (eastern youth) @ 渋谷ツタヤ・オー・イースト 2017.12.09

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「極東最前線 / 巡業2017~おれたちのSONGentoJIYU~」最終日
フォトレポート @ 渋谷ツタヤ・オー・イースト 2017.12.09

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<– 12.03 大阪 |

 

–>テキストレポート「俺から、おれたちへ」

–>テキストレポート「響きとうねり」


— set list — (eastern youth)

ソンゲントジユウ / 明けない夜はないのだ / ちっぽけだって、なんだっていいから、歌を俺にくれ / なんでもない / 同調回路 / 青すぎる空 / 裸足で行かざるを得ない / 素晴らしい世界 / 踵鳴る / 旅の空 / グッドバイ / 矯正視力〇・六 / 口笛吹いて駆け抜けろ / おとぎの国 / おれたち / 夜明けの歌 / 街の底

— encore —
沸点36℃

— encore 2 —
夏の日の午後

 


極東最前線/巡業2017~おれたちのSONGentoJIYU~

 
10月21日(土) 千葉 LOOK
10月28日(土) 札幌 cube garden
10月29日(日) 弘前 Mag-Net『弘前Mag-Net20周年記念』
11月 4日(土) 京都・磔磔
11月11日(土) 仙台 CLUB JUNK BOX
11月12日(日) 新潟 CLUB RIVERST
11月25日(土) 岡山 ペパーランド
11月26日(日) 福岡 DRUM Be-1
12月 2日(土) 名古屋 APOLLO BASE
12月 3日(日) 大阪 umeda TRAD
12月 9日(土) 渋谷 TSUTAYA O-EAST


イースタンユース (eastern youth) @ 渋谷ツタヤ・オー・イースト 2017.12.09

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響きとうねり
テキストレポート「響きとうねり」 @ 渋谷ツタヤ・オー・イースト 2017.12.09

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 始まる前はラウンジミュージックかと思いきや、ダブっぽい曲が流れていた。表面上のマッタリ感とうごめく低音、そしてエコーを効かせた音作りはダブそのものである。

 新しいアルバム『SONGentoJIYU』は何度も聴いて耳に馴染んだころによさが染みてくる作品である。そのアルバムの発売に記念したツアーがおこなわれ、渋谷オー・イーストがその最終日だった。

 18時ころフロアは程よく埋まって、18時10分ころにバンドが登場してライヴが始まった。一曲目は、新譜から「ソンゲントジユウ」。ここから5曲目まで新譜からの曲がMCなしで立て続けに演奏される。イントロで静かに会話するように吉野がギターを爪弾いてから、ガッと演奏に入っていくいつものスタイルだった。吉野が弾くギターの響きはラウドで迫力あり、日本の3ピースバンドとしては極上のもので、この響きにずっと身を委ねたいと思う。

 もちろん、田森のドラムと村岡のよく動くベースががっちりしているからこその響きなんだろう。この音響を体験するだけで観る価値がある。

 ようやくひと息ついて吉野が語り始める。この日は繰り返し「みな違っていい」といっていた。新譜もその主張がいたるところにある。そこから村岡のベースが重く鳴って「青すぎる空」でフロアが歓声を上げる。「裸足で行かざる得ない」と今までの曲を続ける。「踵鳴る」の身を削るようなノイズが放出されたところが、自分のなかではこの日のハイライトだった。

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 後半は吉野はいろいろ語っていて「西ニッコリですよ」なんていう親父ギャグまで飛びだしたり、田森をいじったりしているなか、印象的だったのは「俺は納豆が大好きでね、梅干しも大好き、白いご飯も大好きだ」と「生まれたこの場所が大好きですよ、愛してる」と愛郷心を語ってから「それでも俺には、俺の心の中には俺の魂があるだけ。日本の心なんてものは一つもねぇ、俺の心があるだけ」と語ってから演奏された「おとぎの国」そして「おれたち」が吉野の足場を示したものだろう。そして「夜明けの歌」「街の底」と続く歌がまるでひとつのストーリーのようにも聴こえてくる構成だった。「街の底」モータウンみたいな跳ねるベースとジングルベルが鳴ってるかのように刻まれるリズムで始まるのだけど、イースタンユースが際立たせているのは、黒っぽい跳ねているリズムなんではないかとも思う。これは二宮から村岡に交代することで、よりはっきりしたのではないだろうか。

 アンコールは、村岡の素朴なMCがあり「沸点36℃」。そしてモップスの「たどりついたらいつも雨ふり」が流れてから、再びバンドが登場して吉野が田森にMCを振って、仕方ねぇなという感じで語りだす。ぶっきらぼうな話し方。だけど感謝がこもっていた。演奏されたのは「夏の日の午後」。会場にいる人たちがそれぞれの盛り上がりをみせていた。

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<– 12.03 大阪 |

 

–>フォトレポート

–>テキストレポート「俺から、おれたちへ」


— set list — (eastern youth)

ソンゲントジユウ / 明けない夜はないのだ / ちっぽけだって、なんだっていいから、歌を俺にくれ / なんでもない / 同調回路 / 青すぎる空 / 裸足で行かざるを得ない / 素晴らしい世界 / 踵鳴る / 旅の空 / グッドバイ / 矯正視力〇・六 / 口笛吹いて駆け抜けろ / おとぎの国 / おれたち / 夜明けの歌 / 街の底

— encore —
沸点36℃

— encore 2 —
夏の日の午後

 


極東最前線/巡業2017~おれたちのSONGentoJIYU~

 
10月21日(土) 千葉 LOOK
10月28日(土) 札幌 cube garden
10月29日(日) 弘前 Mag-Net『弘前Mag-Net20周年記念』
11月 4日(土) 京都・磔磔
11月11日(土) 仙台 CLUB JUNK BOX
11月12日(日) 新潟 CLUB RIVERST
11月25日(土) 岡山 ペパーランド
11月26日(日) 福岡 DRUM Be-1
12月 2日(土) 名古屋 APOLLO BASE
12月 3日(日) 大阪 umeda TRAD
12月 9日(土) 渋谷 TSUTAYA O-EAST

キングブラザーズ (KING BROTHERS) @ 梅田シャングリラ 2017.12.16

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2017年を象徴するワンマンライヴ
フォトレポート @ 梅田シャングリラ 2017.12.16

キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ
キングブラザーズ

–>テキストレポート

— set list —
Big Boss / 魂を売り飛ばせ!! / Paint It Black! / KILL YOUR IDOL / Doo Doo Scratch / Song2 / Song3 / Sympathy For The XXXXX / 69 / King Of Boogie / ロマンチスト / ドカドカ / GET AWAY / Song9 / XXXXXX / マッハクラブ /

— encore —
ROCK / ☆☆☆☆ / ルル


『KING BROTHERS ONEMAN LIVE!!! 2017-2018』
12/16(土) @ 梅田シャングリラ 18:30open/19:00start 
01/14(日) @ 名古屋クラブ・ロックンロール 18:30open/19:00start
02/04(日) @ 下北沢シェルター 18:30open/19:00start
 詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

 

キングブラザーズ (KING BROTHERS) @ 梅田シャングリラ 2017.12.16

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確固たる自信
テキストレポート「確固たる自信」 @ 梅田シャングリラ 2017.12.16

KING BROTHERS

 キングブラザーズ2017年を締めくくるワンマン・ライブが12月16日に梅田シャングリラにて行われた。目の前にそびえ立つ新梅田シティでは、移動式メリーゴーランドも設営されたきらびやかなクリスマスイベントが開催されていた。そんな中、一歩会場に入ると1月14日名古屋、2月4日東京のワンマン・ライヴの告知ポスターと共に、白地に印刷された「Wasteland / 荒野」の文字が目に飛び込んできた。来春、満を持して発売されるニュー・アルバムのタイトルだ。

 2016年フジロックフェスティバルのルーキー・ア・ゴーゴーに出演したこともある大阪在住の 50/50’s(フィフティーフィフティーズ)が、オープニング・アクトとして気合いの入ったキレキレのライヴを行なったあと、僅かな転換を経ておなじみのSEが流れると、威風堂々としたキングブラザーズの3人が登場した。普段の彼からは想像もつかない猛々しさのケイゾウ(Vo/G)がマイクスタンドを鷲掴み客を煽ると満員のフロアから歓声があがる。「Big Boss(ビッグ・ボス)」のゾニー(Dr)が繰り出す規格外れの轟音はドカドカと主張しながら高みへと誘い、そこへマーヤ(G/スクリーム)のシャウトと彼の声にも似たメロディックなフレーズが次々と覆い被され、凄みの効いたケイゾウの歌が差し込まれると、傑出したブルース・ロックが完成する。

KING BROTHERS

 シンノスケ(B)とタイチ(Dr)の脱退直前ワンマン・ライヴが行われたのは4年前。その日の1曲目も「Big Boss」だった。20年前のデビュー時がバンドの第一次黄金期とすれば、華やかさと勢いに満ち、メジャーに返り咲いた4人時代の彼らは、第二のピークだといえるだろう。しかし再びベースレスとなり、ゾニーを迎え入れての現体制の今、どの時期の彼らからも頭抜けた安定感がある。

 2曲目「魂を売り飛ばせ!!」から「Paint It Black! (ペイント・イット・ブラック)」に明示される、いわゆる〜黒っぽい泥臭さ〜は、デビュー当初に目指して追いつけなかった場所なのではないだろうか。歌と歌の間に怒りをぶちまけるケイゾウと、演奏に徹しながら時折笑顔を浮かべるマーヤが、ガレージ・ムーブメントの枠走から次々と脱落していくバンドを尻目に続けてきた20年。録音当初のこれらと比較するにつけ、楽曲本来の輝きを放ち始めた今、鉄壁の布陣がようやく揃った感じがするのだ。

KING BROTHERS

「KILL YOUR IDOL(キル・ユア・アイドル)」ではマーヤのスクリームが入る直前、3人の打音が揃う小節が長々と演奏され、これでもかと言うほど客は期待を煽られた。続く「Doo Doo Scratch(ドゥ・ドゥ・スクラッチ)の最後には、スライドしながら登りつめる印象的なリフを繰り返し、胸をかきむしるほどの焦燥感を駆り立てた。

 転じて、ポンと目の前で拍子手を打たれような「Song2」の軽快なドラムとインストの「Song3」の疾走感にフロアのあちこちから歓声が上がる。祭式を盛り上げるようなゾニーのグルーヴが悶絶ものの「Sympathy For The XXXXX(シンパシー・フォー・ザ・バツバツバツバツバツ」では、ケイゾウのハープと、キリキリと響き渡るマーヤのギターソロに熱い視線が注がれた。

KING BROTHERS

「今年もニューアルバム出せなかったんですけど、もう完成してますから、めっちゃ楽しみにしていてください」とノンストップでセットリストをこなす彼らには珍しく、ここでケイゾウのMCが挟まれた。観客からアルバムがいつ出るのかと問いかけられると「え?なんて?」とこれまた珍しくステージ上で会話を続けるケイゾウ。「皆さんが念じれば」という答えに、会場からドッと笑いが起きた。「来年俺たち20周年で、より一層よろしくお願いします。俺の最も信頼する相棒、小山雅史”マーヤ”。ヤツの協力がなかったらここまで来れなかったぜ」「そして名古屋のヤンキー、今は西宮のヤンキーゾニー。ヤツのドラム、俺の知ってる中で世界で一番格好いいと思うんですけど、どうです?」マーヤもゾニーも苦笑いするほど、ケイゾウの口からはメンバーをベタ誉めする言葉が次々と飛び出し、その度に拍手が沸き起こり「俺は西宮の大統領、松尾ケイゾウです」という自己紹介には、大歓声が上がった。

KING BROTHERS

  美しい旋律が左右のギターから、いつも変わらぬ実直さで胸に突き刺さってくる「69」。ファースト・アルバムに収録されているそれからは、ぐっとテンポが抑えられ、よりドス黒さに充ちた「King Of Boogie」へとライヴは続く。マーヤのスクリームは、どの楽曲においても唯一無二のもので、彼の声こそもうひとつの楽器であり、バンドの世界観を揺るぎないものにしている。そう改めて気付かされていると、突然ステージから獰猛さが消え「ロマンチスト」の切ないギターリフが響き渡った。会場を覆い尽くしていた爆発的な熱気が凪いでいく。筆者が最後にこの曲を聞いたのも、4人のキングブラザーズ最後の日だ。現メンバーでほとんど演奏されてこなかった、いわゆる”聞かせる系”のこの曲が今の彼らの禁じ手ではないこと、3人が声を合わせ歌う姿に意表を突かれ、観客は一心に耳を凝らした。

KING BROTHERS

 客が呆気にとられていると、容赦なく「ドカドカ」へとバンドは舵をとる。饒舌なゾニーのドラムに乗っかりケイゾウは踊りながら歌い、ギターを掻き鳴らす。「最強の男マーヤが歌います GET AWAY」と紹介すると、ヴォーカルはケイゾウからマーヤへと受け渡される。油断も隙もない展開に、着いてこれるか?と試されているかのようだ。

 続く「NO NO NO」は彼らの住む西宮に唯一あるFM放送局「さくらFM(78.7MHz)」の12月パワープレイ曲として現在MC付きで流れている新曲だ。そして本編は「XXXXXX」「マッハクラブ」の大団円へと続く。「この曲で最後になります、全員がバカになって頂かないと、あそこの扉開きませんから。キングブラザーズのお客さんですよね?しっかり踊ってくれますか?」ケイゾウの前のめりのMCで最速のナンバーが狂犬を引き摺り出す。

 マーヤはギターを置き「最後の曲です、Are you ready? 今年最後のワンマン来てくれてありがとう、最後の曲になりましたが飛び込みたい、待たせたなクソ野郎!今年をぶっとばせ!」と言うや否やこの日初めてフロアに飛び込んだ。金切り声をあげながら担がれたマーヤが会場をかき回す。「お前たちを愛しているぜ」と言うマーヤと「ニ・シ・ノ・ミ・ヤ」を叫び熱気が最高潮のまま本編が終了した。

KING BROTHERS

 間をあけずメンバーはステージへ。アンコールの1曲目は、なんとこの3人では初披露となる「ROCK」だった。ベースレスバンドに徹していた彼らがベーシストを入れて4人編成になり最初の音源である『GALAXY(ギャラクシー)』の頭に録音した曲。あえてこの曲を選び、見せつけた骨太のロックンロールは、彼らの反撃が再び始まったこと、そして自信の表れに他ならない。

「☆☆☆☆」で「もっとおかしくなってくれ!」というケイゾウの一声でフロアに機材が降ろされ「ルル」が演奏される。ケイゾウが今日この日まで歌い続けてきた「さあ今日は何をする / このくだらない世界で / 退屈している俺は何もかもが嫌になる」という歌詞は、来春リリースされるアルバム「Wasteland / 荒野」の世界へと受け継がれているのだろうか。

 年明けて1月14日(日)名古屋クラブ・ロックンロール、2月4日(日)下北沢シェルターにてワンマン・ライヴが行われ、2月ニュージーランド・ツアーを経て、3月より怒涛の全国ツアーが始まる。彼らの生み出す狂騒の渦は、まだまだ勢いを増す。

KING BROTHERS

–>フォトレポート


— set list —
Big Boss / 魂を売り飛ばせ!! / Paint It Black! / KILL YOUR IDOL / Doo Doo Scratch / Song2 / Song3 / Sympathy For The XXXXX / 69 / King Of Boogie / ロマンチスト / ドカドカ / GET AWAY / Song9 / XXXXXX / マッハクラブ /

— encore —
ROCK / ☆☆☆☆ / ルル

 


『KING BROTHERS ONEMAN LIVE!!! 2017-2018』
12/16(土) @ 梅田シャングリラ 18:30open/19:00start 
01/14(日) @ 名古屋クラブ・ロックンロール 18:30open/19:00start
02/04(日) @ 下北沢シェルター 18:30open/19:00start
 詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

Future Islands(フューチャー・アイランズ)@ 渋谷WWW X 2017.12.19

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ゆううつなど吹き飛ばして元気出せよ
テキスト・レポート「ゆううつなど吹き飛ばして元気出せよ」 @ 渋谷WWW X 2017.12.19

Future islands

 フューチャー・アイランズをこのような会場で観られるのは貴重な機会のようだ。英米ではもっと大きな会場でライヴがおこなわれるとのこと。渋谷WWW Xにいるお客さんの外国人比率は高い。ゲストとしてサミュエル・T・ヘリングの友人のダスティン・ウォンと、嶺川貴子のユニットがまず19時30分に登場する。ダスティンがギターで嶺川貴子がキーボードか機材を操作してミニマムが音を作り上げる。2人は1本のマイクを交互に使って声をだし、それをサンプリングしたものをループさせて演奏の上に被せていく。2人の親密ぶりが感じられて音は温かい。

Future Islands フューチャー・アイランズは20時35分ころに現れる。ヴォーカルのサミュエル・T・ヘリングの存在感が群を抜いている。見た目は完全に髭面のおっさん。ロックスターの要素は皆無。ジョイ・デヴィジョン〜ニューオーダー直系のシンセサイザーを中心にしたサウンドをバックに、あるときは朗々と歌い上げ、あるときはデス声でシャウトする。音源で聴いているときにはここまでエモーショナルでフィジカルな音楽とは感じなかったけど、ライヴではそれが全開になる。

 そして、散々いわれていることだけどサミュエルの動き。「ステージを所狭しと駆け回り……」とはちょっと違う。動きにキレがある。眼を離したすきに次にいるという瞬間移動なのだ。胸を叩き、顔を叩き、吉本新喜劇の島木譲二にしかみえない。クネクネ踊り、変な体操をする。しかし、そこから漂うのは自己陶酔ではなく、祈りの行為のような崇高さを感じる。彼らの音楽が内でなく外へ向かっているのだ。だからこそ曲の構造はポップなのである。

「Beauty of the Road」から始まったライヴは、最新作『The Far Field』から多く演奏された。先述の通り、ニューオーダーからの影響が大きく、ウィリアム・キャッションによるベースなんかピーター・フックぽくて好きだ。

Future Islands 例えれば、イアン・カーティスが起きて鏡をみたら熊ゴリラみたいな風貌になっていたので、この風貌では死ねないと思い直し、とりあえず一生懸命歌っていたら他者と触れあうようになり、ポジティブさまで漂わせるようになったようなバンドである。

「Cave」ではサビの合唱、「Seasons (Waiting on You)」では大きな歓声が上がり、終盤に向けてお客さんたちも熱を帯びていった。アンコールも「Black Rose」「Vireo’s Eye」の他に予定にはなかった感じで「Little Dreamer」を演奏してくれた。「Little Dreamer」は余韻を味わうかのような歌と演奏。それまでの激しさとは一転した静けさに包まれてライヴは終わった。

 このステージを観るとフジロックでやってほしい、多くの人にサミュエルをみてほしいと願わずにはいられない。哀愁、激情、そして笑い。こんな素晴らしいエンターテイメントもないのだ。

Future islands

Photos by Kazumichi Kokei

ザ50回転ズ @ 十三 246ガブ(GABU) 2017.12.23

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変わりようがないバンド、その進化
フォトレポート @ 十三 246ガブ(GABU) 2017.12.23

ザ50回転ズ
ザ50回転ズ
ザ50回転ズ
ザ50回転ズ
ザ50回転ズ
ザ50回転ズ
ザ50回転ズ
ザ50回転ズ
ザ50回転ズ
ザ50回転ズ

 2回目のアンコールが終わり出口への扉が開けられたにもかかわらず、観客は笑顔で「Saturday Night」を歌い始めた。帰り支度をしていた人が慌ててフロアに駆け戻る。そう、この日は土曜日。この曲を聞かずに帰られるわけがなかった。

 11月24日金沢vanvanV4から始まったザ50回転ズ「Good Bye! Seventeen Tour」のファイナルが、十三246GABUにて行われた。夜の街十三の目抜き通りに今年8月に出来たばかりのライブハウスだ。「スイッチを入れれば1秒もいらない 」と観客の心を代弁するかのような歌詞の「Vinyl Change The World」でライヴは始まる。「ただいま大阪!」とダニー(Vo/G)が叫ぶと、今回のツアー会場先行発売されていたニューアルバム「ザ50回転ズ」から硬派な主人公が骨太のビートに浮かぶ新曲「ハンバーガー・ヒル」が披露され、一転高速「50回転ズのテーマ」で会場が一気に沸き立った。4カウント数えてドリー(B/Vo)が歌う「1976」はボギー(Dr/Vo)のタイトなドラマが最強なナンバーだ。

 中盤は新曲と既存曲が見事に調和しあい、バンドの進化をまざまざと見せつけてられた。新曲「新世界ブルース」の王道昭和歌謡ロックは彼らのデビュー時からの十八番である一方、「デヴィッド・ボウイをきどって」はスペーシーなダニーのギターが印象的な、疾走感とポップが同居する80年代アイドルソングを彷彿させる曲だし、学園ものと紹介されたドラマティックな「11時55分」「純情学園一年生」はRCサクセションの「トランジスタラジオ」に通じる世界観を持ち合わせている。

 一方、既存の「レッツゴー3匹」の炸裂する8ビート、最速のパンクナンバー「Mr.1234Man」、ドリーががなり歌い上げる「サンダー・ボーイ」をはじめとする、硬派なロックバンドの一面。コミカルなMCを挟みながらも、クルクルと楽曲はその色合いを変えていく。こんなに饒舌なバンドだったっけ? これほど表情豊かなバンドだったっけ? どの曲も新鮮で、彼ららしさに溢れている。「俺たち9年前と呆れるくらい何も変わってません。変わりようがないんだよな、やりたいことが一緒なんだから」ダニーはライブ中そう語ったが、最前列を含むフロアを埋め尽くす観客の年齢の幅広さが、彼ら自身の進化を何よりも雄弁に物語っているように思えた。

 2回のアンコールの後、興奮冷めやらぬ観客が「Saturday Night」を誰からともなく歌い始めた。それはすぐに大合唱になり、メンバーをステージに戻すに十分な熱量をもっていた。ボギーのドラムが高らかに打ち鳴らされ「Saturday Night」が演奏されると、狂ったように拳を上げて歌う観客と、嬉しそうな3人のメンバーがいた。

— set list —
Vinyl Change The World / ハンバーガー・ヒル / 50回転ズのテーマ / 1976 / レッツゴー3匹!! / 夜明けに走れ / KILLER / 新世界ブルース / デヴィッド・ボウイをきどって / Mr.1234Man / サンダーボーイ / グローリー・グローリー / I Can not be a good boy / Let Me Rock / Trip! Trip! / 11時55分 / 純情学園一年生 / あの日のロックンロール / 涙のスターダスト・トレイン / YOUNGERS ON THE ROAD / MONEY! MONEY! / おさらばブギウギ

— encore —
あの日の空から / ロックンロール・マジック

— encore 2 —
Please don’t say

— encore 3 —
Saturday Night

原始神母~ピンク・フロイド・トリップス(Pink Floyd Trips) @ EXシアター六本木 2017.12.29

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今、聴くべきピンク・フロイド
テキスト・レポート「今、聴くべきピンク・フロイド」 @ EXシアター六本木 2017.12.29

Pink Floyd Trips

Pink Floyd Trips

 ついに、ここまできた。ピンク・フロイドを愛するミュージシャンたちで活動している原始神母が六本木のEXシアターでライヴをおこなうのだ。バンドのメンバーには武道館やスタジアムでのライヴ経験のある人もいるけれども、バンド自体は、小さなライヴハウスからこつこつやってきていて大きくなるというサクセスストーリーは若いバンドだけでなく、おじさんたち(失礼)のバンドにもあるのだ。

Pink Floyd Trips もちろん今年でいえばフジロックにもでたし、徐々に話題が広まってきたおかげである。お客さんは外国人も目につく。英語やスペイン語らしき言葉も聞こえる。会場に流れている音楽はずっとピンク・フロイドだ。

Pink Floyd Trips まずはシド・バレット・セット。60年代末のサイケデリックな雰囲気が充満するステージだった。ステージ背後にはオイルペインティングが映しだされ、宇宙とか深海とかいろんなイメージを喚起させる。メンバーは、下手からキーボードの三国義貴、コーラスでラブリー・レイナ、コーラスとパーカッションで冨田麗香、テレキャスターのギターに木暮シャケ武彦、センターにヴォーカルのケネス・アンドリュー、その奥にはドラムスで柏原克己、リッケンバッカーのベースで扇田裕太郎、そして上手にキーボードで大久保治信である。衣装も合わせてサイケデリックになっている。特にラブリー・レイナと冨田麗香の2人はセクシーで華やかだった。

Pink Floyd Trips ロンドンのアンダーグラウンドででてきて、サイケであり、ポップでもあり、実験的でもあったピンク・フロイドを再現していた。「星空のドライブ(Interstellar Overdrive)」で始まり、「ルーシファー・サム(Lucifer Sam)」でリードヴォーカルのケネスが登場。この曲や「アーノルド・レーン(Arnold Layne)」ではポップで切れ味ある疾走感、「マチルダ・マザー(Matilda Mother)」「パウ・R・トック・H(Pow R. Toc H.)」「第24章(Chapter 24)」ではアヴァンギャルドな浮遊感をもたらし、「シー・エミリー・プレイ(See Emily Play)」では再びポップに、そして迫力の「天の支配(Astronomy Domine)」、「星空のドライブ(Interstellar Overdrive)」に戻るという構成だった。

Pink Floyd Trips シャケのMCによるとこのセットはバンド名「夜明けの口笛吹き」として独立するとのこと。シド・バレット時代の曲のカヴァーでライヴをおこなう。このセット最後は、楽しい童謡のような「バイク(Bike)」で締める。

Pink Floyd Trips 20分の休憩をはさんで第2部。まずは意表をついて「シープ(Sheep)から始まる。緩急がついたドラマティックな展開で圧倒していく。柏原の迫力あるドラミングが印象的な「神秘(A Saucerful of Secrets)」。そして『狂気(The Dark Side of the Moon)』の全曲再現コーナーへ。

Pink Floyd Trips 今回は、ゲストとしてコーラスに山根麻衣、サックスに阿部剛が招かれた。山根麻衣が加わった「虚空のスキャット(The Great Gig In The Sky)」は、メンバーであるラブリー・レイナと冨田麗香のスキャットが毎回のハイライトになるのだけど、今回はさらに迫力を増していた。阿部剛のサックスによって「マネー(Money)」と「アス・アンド・ゼム(Us and Them)」に奥行きを与えていた。

Pink Floyd Trips もともと力量があるミュージシャンたちではあるけど、さらにパワーアップした編成で演奏された『狂気』の曲たちは、新たな生命が与えられたのと、ここで歌われている「時間」や「お金」などは、不安や疎外感をもたらしていまだに我々にとって問題であることを教えてくれる。決して懐メロでなく、今でも演奏されるべき音楽なのである。

Pink Floyd Trips『狂気』コーナーが終わっても興奮は冷めない。『狂気』をさらに先鋭化した「クレイジー・ダイヤモンド(Shine On You Crazy Diamond)」や「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール (Another Brick in the Wall)」、一転して「あなたがここにいてほしい(Wish You Were Here)」でアコースティックギターの音色でシド・バレットへの思いを歌い上げる(ロジャー・ウォーターズは、シドのみに向けた曲ではないといっているけど)。再びコーラスに山根麻衣が参加して「原子心母(Atom Heart Mother)」、扇田のベースが活躍する「吹けよ風、呼べよ嵐(One Of These Days)」で本編が終わる。

Pink Floyd Trips アンコールは、「コンフォタブリー・ナム(Comfortably Numb)」シャケのストラトキャスターのギターがいい音で鳴りまくる。そして、この曲ならということでミラーボールが降りてきて光を放つ。EXシアターのミラーボールは光を反射するだけでなく、中にLEDライトみたいなのが仕込まれていてそれ自体が光っていた。最後は恒例の「ナイルの歌(The Nile Song)」。ゲストも含めてメンバーひとりひとりがソロを回して楽しいライヴの打ち上げのような雰囲気だった。

 2017年はフジロックにもでたし、こうした現代でも演奏されるべき音楽は継続して活動されることを望む。フジロックのもう少し大きなステージでもう少し持ち時間を長くしてほしいし、朝霧JAMなんかふさわしいステージだと思うし多くの人たちに聴かれてほしい。

Pink Floyd Trips

— set list —

Interstellar Overdrive / Lucifer Sam / Matilda Mother / Arnold Layne / Pow R. Toc H. / Chapter 24 / See Emily Play / Astronomy Domine / Interstellar Overdrive / Bike

Sheep / A Saucerful of Secrets / Speak to Me/Breathe / On The Run / Time / The Great Gig In The Sky / Money / Us and Them / Any Colour You Like / Brain Damage / Eclipse / Shine On You Crazy Diamond / Another Brick in the Wall / Wish You Were Here / Atom Heart Mother / One Of These Days

— encore —

Comfortably Numb / The Nile Song

Pink Floyd Trips

Pink Floyd Trips

Photos by Koichi Morishima

スマッシング・マグは完全脱皮のリニューアルでLIM Pressと姿を変えました

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誕生から20年を期して、スマッシング・マグは完全脱皮でリニューアルです
編集部より「スマッシング・マグは完全脱皮のリニューアルでLIM Pressと姿を変えました」 2018.06.01

 インターネットがまだまだ限られた好き者の間でしか認識されていなかった90年代半ば、プロモーター、スマッシュと様々なイヴェントを企画してきたフリーの音楽フォト・ジャーナリスト、花房浩一の提案とプロデュースで生まれたのが、日本のプロモーターとしては初となったスマッシュの公式サイトでした。そして、『ただ宣伝するだけでは意味がない』と、コンテンツのひとつとしてスマッシング・マグが生まれています。

Glastonbury Festival 1998 世界中を飛び回って取材を続けていた花房が中心となり、様々なレポートを提供するのが初期段階でした。音楽雑誌ではほぼ不可能だった無名の新人やイヴェントのレポートに加え、スマッシュが招聘したアーティストのライヴを中心にレヴューを掲載。おそらく、国内のウェッブ・サイトでは初めてだったでしょう、今では知らない音楽ファンはいないだろうと思える世界最大級のグラストンバリー・フェスティヴァル97年のレポがこの時登場しています。また、同じ年に始まったフジロック・フェスティヴァルが苗場に会場を移した01年に姿を見せた、ロッキーホラー・ショーを想起させるサーカス・オヴ・ホラーズから東京でも大きなフェスティヴァルを生んだロンドンのトリビュート・シーンを初めて日本に紹介したのもこの頃です。

 その翌年、スマッシング・マグはスマッシュを離れて独立。彼らの協力の下、花房が編集発行人として『投稿』をベースに構成する第二期に入ります。若手ライターや写真家に門戸を開放。国内外を問わず、なによりも『自由』を基調に、伝えるべきものをストレートに伝えるという原則に立ち、様々なプロモーターに協力を仰ぎながら、カバーする世界を広げていきました。同時に、経済的にも独立。アフィリエイトの利用や広告などで経費をカバーし、取材経費も自腹とすることで、ジャーナリズムとは無縁の宣伝だらけのメディアとなることを拒絶。掲載写真から原稿までチェックされるのが当たり前とされる、特に音楽業界では異端であったのかもしれません。

バグダッドに飛んだ布施祐仁からの寄稿

 しかも、音楽に縛られることもありませんでした。占領下のバグダッド・レポートからロンドンで開催された大規模な反戦集会までが登場しています。加えて、投稿をきっかけに主要ライターや写真家として活動を始めたスタッフが、独自の視点で取材活動拡大。大手メディアでは取り上げられることのなかった無名のアーティストも次々とサイトに登場します。微力ではありながらも、スマッシング・マグをきっかけにその存在が知れ渡るようになったバンドやアーティストも少なくはありませんでした。

 編集長の花房が97年にフジロックフェスティヴァルの公式サイトをプロデュースし、第一回目からオンタイムで会場からのレポを届けるフジロック・エキスプレスを始動させています。その流れもあり、当初わずか3名で動き出したここに、やはり公式サイトから派生して独立したfujirockers.orgとスマッシング・マグのスタッフが加わっていくことになります。ライヴ写真を撮影して速攻でアップし、ライターも同じようにレポートを加えていくスタイルは、後に大規模イヴェントの定番となっていきますが、そのエキスパートが当方のスタッフでした。この活動はフジロックにとどまらず、ある時期はライジング・サン・ロック・フェスティヴァルから朝霧ジャムなどに拡大。2年連続で開催されたハイドパーク・ミュージック・フェスティヴァルでも機動力を発揮し、テキサスはオースティンで開催されているサウス・バイ・サウスウェストでも同じ方法でレポにトライしたこともあります。また、主要スタッフはサマーソニック他、内外のフェスティヴァルやイヴェントで活躍するようになっています。

Hydepark Music Festival 2005

 2010年6月に二回目のサイト・リニューアルを迎え、入力方法や更新方法を簡素化。各ライターや写真家の作業の効率化を経て、成長を続けてきたと思います。当サイトの『コンテンツに責任を持つ』という意味に於いて、編集長である花房が、その核に存在しますが、基本的にはフリーで活動するライター、ジャーナリスト、あるいは写真家が、独立した作品や取材結果を、独自に、あるいは、相互協力の下で発表するというギルド的な性格を持つメディアとして存在したのが約7年間の第三期スマッシング・マグでした。

 が、船出から20年をきっかけに、大胆なアプローチを持ってさらなる進化を目指そうということになりました。まずは、これまで幾度となく『独立採算の独立メディア』であるとアピールしてきたんですが、プロモーター、スマッシュの一部であるという印象がぬぐえないという状況から脱却します。当初から、現状を打破し、旧態依然たるものをたたきつぶすという英語、Smashの現在進行形として『スマッシング』という言葉を使ってきたんですが、これが逆に『縛り』となっているという現実があります。加えて、編集長の花房浩一も当初から独立したフリーの音楽ジャーナリストではありますが、フジロックとの関わりなどもあり、『スマッシュの一部』と誤解され続けてきました。ですから、そこからの脱皮を決意して、今回のリニューアルに挑むこととしました。

 まず、媒体の名前を一新して、新しいインターフェイスをもって、LIM Pressという名前へと変身します。また、これまで発行責任者で編集長として動いてきた花房は一線を退き、若手の中心となって活動を続けてきたスタッフにその全権をゆだねることになります。これまでの経験を生かして、若手ライターや写真家へのアドバイザーとして手助けをしたり、独自取材を寄稿するかもしれませんが、それは一介の音楽ジャーナリストのとしてこの媒体を使うということにとどまります。

 20年にわたってスマッシング・マグを続けてきた花房が新たな編集部に貫いて欲しいとお願いしているのは、ジャーナリズムの基本原則です。宣伝(プロモーション)の道具のようなメディアもどきにはしないこと。いかなる検閲も拒否し、コンテンツのすべてに責任を持つ独立したメディアであり続けてもらうことです。それをベースにしながらも、これまで培ってきた組織力や機動力を使って、このメディアの外で様々なプロジェクトへ進出していただければと思います。

 なお、20年の歴史を持つスマッシング・マグはこのまま残し、様々なライター、ジャーナリスト、写真家、あるいは、投稿という形で残した記録を守り続けます。また、当初はスマッシング・マグのフェイスブック・ページLIM Pressに移行しようとしたのですが、それが不可能ということがわかり、独自にリニューアル・サイト、LIM Pressのフェイスブック・ページが生まれています。あたらなレポートの案内やニュースは、そちらで発表されることになります。一方で、スマッシング・マグのフェイスブック・ページは、そのまま存続させて、花房個人による音楽や関連情報発信の場となります。

 今後とも、よろしくお願いします。

 






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