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バケツドラマー・マサ(Bucket Drummer Masa) @ 大阪ビッグケイク 2017.06.24

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体感は想像を超える
フォトレポート @ 大阪ビッグケイク 2017.06.24

Bucket Drummer MASA
Bucket Drummer MASA
Bucket Drummer MASA
Bucket Drummer MASA
Bucket Drummer MASA
Bucket Drummer MASA
Bucket Drummer MASA
Bucket Drummer MASA
Bucket Drummer MASA

 大阪南堀江にあるバー・ビッグ・ケイクでは、今年10回目となる、みやちとーるフジロック写真展『Thank you fujirockers!!!』が行われていた。フジロックの公式ファンサイトであるフジロッカーズ・オルグ(fujirockers.org)主催のフジロッカーズ・バー関西共催として、クロージング・パーティが開催された。スペシャル・ゲストとして呼ばれたバケツドラマー・マサを一目見ようとライブ予定時間が近づくにつれバーは混み始めた。

 バケツを叩いて、日本のみならず世界を舞台にパフォーマンスをしている男がいるという噂は聞いていた。幾つも重ねられたバケツが運び込まれたのを目の当たりにすると、嫌が応にも期待は高まる。

 固唾を吞むお客さんに見守られる中、マサは右手に設置されたパイプを吹き始める。エフェクターが繋がれたその塩化ビニール管は、なんとオーストラリアの先住民アボリジニの奏でる金管楽器ディジュリドゥを模したものである。見慣れたペール缶は、大きさ、形、中に入れるものやそれぞれに手を加えられ、打音に変化をもたらしている。シンバル替わりには・・・と見ると回転刃にマドレーヌ型が重ねられ度肝を抜かれる。こうして、全てが身の回りにあるものを用いてセッティングされているのだ。

 塩ビ菅にバケツという初見の物珍しさは、ライブが進むにつれうねるようなディジュリドゥとそこに切り込まれるドラムにトランス状態に陥る気持ち良さに変わっていた。引き込まれ、リズムに踊らされ、まさかバケツと塩ビ菅のグルーヴに魅了される日が来るとは思わなかった。場に居合わせたお客さんとの一体感と、享受する高揚感は格別だった。

 フジロック写真に囲まれて体感した唯一無二のバケツドラマー・マサというジャンル。苗場の空の下で聞いてみたいアーティストだ。


ザ50回転ズ @ 赤坂ブリッツ 2017.07.07

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火をつけてくれたバンド
テキスト・レポート「火をつけてくれたバンド」 @ 赤坂ブリッツ 2017.07.07

50kaitenz

 この日は「WILD SIDE ROCK!! 」というイベントだった。ザ50回転ズはトリとして21時ころに登場した。十分に温められたフロアに「マネー!マネー!」が投げ込まれた。すぐに湧き上がる。次の「キラー」では暗めの照明の下、スカのリズムをハードに演奏してフロアは縦ノリへ。ギターソロのときに「今のお前らの声はこんな感じ」と小さめの音量でダニーがギターを弾き、「もっと大きな声だせ!」と煽ると、それに呼応して大きな歓声が返ってくる。それを受けて渾身のギターソロを弾くダニー。お客さんを巻き込む力がすごい。ドリーの「サンダーボーイ」をはさんで、「サムクックがきこえる」でクールダウン。

50kaitenz この日は2つ前にステージを務めたBRADIO(ブラディオ)がジェームス・ブラウンのソウルをまんま受け継いだようなステージをみせてくれた。切れ味鋭いファンキーなギターとうねる重たいグルーヴに乗り、表声と裏声を巧みに使い分け、お客さんたちにダンスを教えるJBイズムの体現者、真行寺貴秋らバンドの完成度が高い。短い時間で惹きつけてもっと聴きたいと思わせた。

50kaitenz 次にでてきたThe Bawdies(ザ・ボゥディーズ)は久々に観るのだけど、変わったところと変わらないところがあるな、と感じた。変わったのはスーツが白くなったのと曲振りのコント(「ホットドッグ」前の寸劇)に磨きがかかったことだ。それだけステージでの経験を積んでいる。変わらないのは、ガレージなロックンロールを生き生きと演奏していることだった。ステージで暴れすぎたジムはツアー中に負傷し、この日は松葉杖で登場。椅子に座って演奏するかと思ったら、その場で立ち上がって激しくギターを弾いていた。

 ロイが「50回転ズはライヴの本質を教えてくれた」と語れば、ジムが初期のエピソードを語り、バンドが50回転はをリスペクトしているのが伝わり、50回転ズに捧げますと演奏された「I Beg You(アイ・べグ・ユー)」が本当に楽しくて、うれしくなった。

50kaitenz 2つのバンドに触発されてロックンロールに火がついた「ビニール・チェンジ・ザ・ワールド」からドリーの定番「ヤンガース・オン・ザ・ロード」の勢いは、いつも、どんなステージでも力を発揮できる50回転ズをみせてくれた。お客さんの熱を受け止めてそれを音にして返すことができる、しかもステージを重ねていくうちにその精度が高まっていくことを感じるのだ。

50kaitenz 勢いはあるけどスウィートでノスタルジックな「ロックンロール・マジック」、そして最後は定番の「おさらばブギウギ」でコール&レスポンスで締めくくる。

 アンコールは50回転ズとオープニング・アクトを務めた山崎彩音、BRADIOから真行寺、The Bawdiesからロイが参加してウィルソン・ピケットのヴァージョンで知られている「Land of 1000 Dances(ダンス天国)」を演奏する。この曲はThe Bawdiesの登場曲として使われているので、この日のお客さんたちには馴染みある。「ナー ナナナナー ナナナナーナナナーナナナー ナナナナー」というコーラスが印象的。大いに盛り上がって長丁場のイベントを終えたのだった。

— set list —  
MONEY! MONEY! / KILLER / サンダーボーイ / サムクックがきこえる / Vinyl Change The World / YOUNGERS ON THE ROAD / ロックンロール・マジック / おさらばブギウギ
— encore —
Land of 1000 Dances (With 山崎彩音、真行寺貴秋、ROY)

Photos by Yoshihito KOBA

50kaitenz

イースタンユース (eastern youth) @ 渋谷クラブクアトロ 2017.07.15

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2年間の集大成を放つ
フォトレポート @ 渋谷クラブクアトロ 2017.07.15

eastern youth
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「生国を発しましては、北の最果て北海道。氷雪大地叩き割り、流れ流れて東京へ。気がつきゃ来年30周年。思えば遠く、来たもんだ。お見かけどおりの無粋者、イースタンユースと申します」

 7月15日、渋谷クラブクアトロで行われたイースタンユース主催の対バン・ライヴシリーズ「極東最前線」。ゲストの切腹ピストルズのライヴを受けて、吉野寿(G/Vo)が見事な口上で仁義を切ってみせる。フロアからすかさず沸いた大歓声とともに、吉野は1曲目の「砂塵の彼方へ」のギターを切り込んだ。

 続いて「夏の日の午後」「故郷」と代表曲をたたみかけ、吉野の歌声は、観客のシンガロングに彩られる。一転、「夜の追憶」をしみじみと聴かせたかと思えば、「ギラリズム夜明け前」で空気をキリリと引き締める。「青すぎる空」「男子畢生危機一髪」で再びピークがやってきて、「グッドバイ」のスケールの大きさ、「夜がまた来る」の胸が締め付けられるような切なさに放心する。本編終盤は、「荒野に針路を取れ」「沸点36℃」「街の底」の人気曲のコンボで盛り上がりは最高潮となり、「ズッコケ問答」「裸足で行かざるを得ない」の2回のアンコールも熱烈に迎えられた。いつもの渋谷クラブクアトロ、いつもの極東最前線、のはずなのに、村岡ゆか(B)加入以降の集大成を目の当たりにしたような、圧倒的かつ濃密な時間だった。

 同日、待望のニュー・アルバム『SONGentoJIYU』(ソンゲントジユウ)が9月27日(水)にリリースされる旨が発表された。10月21日(土)からは、全国ツアーが始まる。吉野は、フロアに集った沢山の観客に礼を述べながら語る。

「もうアカン、もうアカン、やめますっていう靴屋さんが大阪にありましたけど、ついにやめてしまいましたけどね、そんな気持ちでずーっとやって来ましたよ。それで、極東最前線っていう企画ですよ、今日は。ずいぶん長いことやってきてね、第1回目は(観客の数が)23人とかそれくらいでしたからね」

「浮き沈みがありましたよね。馬鹿みたいに(お客さんが)入ってたことも、実はあったんだよ。おじさんのね、若い頃は」

「でもさ、こんなこと言っちゃいけないのかもしれないけど、『もっとたくさんの皆さんに聴いていただきたい』って言わなきゃいけないのかもしれないけど、俺、もう、充分。だって、人数に会いたいわけじゃねえから。いっぱいいたら、すげえ嬉しいよ。お前ら見どころあるなって、聴いてくれるなら、嬉しいよ」

「水で割ったみたいにさ、ジャブジャブ人がいればいいって思ってるわけじゃない。消費者じゃねえから。イアン・マッケイさんも言ってたけど、コンシューマーじゃねえのよ。コンシューマーいらねえ。消費者だから。俺、別に消費されたいわけじゃないからね」

「だから、9月に新しいアルバム出るんですけど、(観客の大歓声によって他の話にそれたので中略)本当はさ、極端な話すると、聴かないでほしい。あれ、俺の大事な大事なところだから。俺の大事な部分。だからね、もうみんな聴かないで。聴くとしても、耳塞いで聴いて。お恥ずかしいところを、あえて腹かっさばいてお見せしているようなものなんで。批判、異論、全部言っていいけど、俺は一切聞かない。知らん! 以上!」

「そんな告知あるかオイ」と自らツッコミを入れる吉野に、そんなこと言われたら、余計に聴きたくなるじゃないか! と、観客からは期待に満ちた拍手が向けられた。村岡も「このバンドに入れていただいて、一緒に新譜を作るというのは、私にとって非常に大きな山でした。なんとか越えることができて、よかったです。これから先もいろんな山があると思いますけど、超えていきたいのでどうか見守っていていてください」と、アンコール前のMCで語った。

 ラフミックス段階の音源を聴かせてもらったが、『SONGentoJIYU』は吉野、田森篤哉(Dr)というゆるぎない二人に、村岡という新たな才能が加わることによって生まれた、イースタンユース史上最も鮮烈なインパクトを与える会心作である。また、この日のライヴと同じように、現体制初にして、彼らの2年間の活動の成果が封じ込められた、集大成的な作品にも感じられる。

 ‘15年9月の村岡加入以降のイースタンユースの歩みを見守ってきた人たち、そう、イースタンユースを「消費」することなく、かけがえのないものとして彼らの音楽と向き合ってきた人たちならば、吉野の言葉の意味するところが、作品を聴けば腑に落ちるはず。吉野は「みんな聴かないで」と言っているが、私はどうかたくさんの人の手元に『SONGentoJIYU』が届き、そして、ひとりでも多くの人がライヴ会場へ足を運んでくれることを願っている。全国ツアーのチケットは、7月23日(日)まで先行申し込みを受け付けている

 


— set list — (eastern youth)
砂塵の彼方へ / 夏の日の午後 / 故郷 / 夜の追憶 / ギラリズム夜明け前 / 青すぎる空 / 男子畢生危機一髪 / グッドバイ / 夜がまた来る / 荒野に針路を取れ / 沸点36℃ / 街の底

— encore —
ズッコケ問答

— encore 2 —
裸足で行かざるを得ない

 


極東最前線/巡業2017~おれたちのSONGentoJIYU~

 
10月21日(土) 千葉 LOOK
10月28日(土) 札幌 cube garden
10月29日(日) 弘前 Mag-Net『 弘前Mag-Net20周年記念』
11月 4日(土) 京都・磔磔
11月11日(土) 仙台 CLUB JUNK BOX
11月12日(日) 新潟 CLUB RIVERST
11月25日(土) 岡山 ペパーランド
11月26日(日) 福岡 DRUM Be-1
12月 2日(土) 名古屋 APOLLO BASE
12月 3日(日) 大阪 umeda TRAD
12月 9日(土) 渋谷 TSUTAYA O-EAST

キングブラザーズ (KING BROTHERS) @ 十三ファンダンゴ 2017.07.15

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俺たちがキングブラザーズ
フォトレポート @ 十三ファンダンゴ 2017.07.15

キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)

 7月7日~10日にバンド初の台湾ツアーを終えたばかりのキングブラザーズ。ライヴ前にメンバーに台湾の感想を聞くも、いやはやのんびりとした答えが返ってきた。そのリラックスした表情に安堵しつつ、嫌が応にも期待が膨らむ。

 温かく迎え入れる客の横を通り、メンバーがステージに上がる。耳をつんざくギターをかき消すように「ロックの準備はいいですか!」とケイゾウ(Vo/G)が叫ぶと「ビッグ・ボス(Big Boss)」から始まった。天井がぶっ飛んでしまうんじゃないかというとんでもない気迫を乗せた爆音が、みっちり埋まったライヴハウスを一瞬で塗り替えてしまった。何度見たかわからない彼らのステージで、こんなライヴ見たことない!と思ったのは正直、デビューしたての頃の初見以来かもしれない。

「魂を売りとばせ」でケイゾウはステージを降り「ボケっと見てる人、ここに上がって俺とビンタで張り合うあうか、もしくは踊りまくるか、二つにひとつだ、踊り続けよう!」と後ろで突っ立っている客を罵倒しては煽り続けた。マーヤ(G/スクリーム)はそれを見て、笑いながら最前の客に突っ込み気味にギターを弾く。音圧が膨らみ、膨らみ、弾け切ったところに振り下ろされるゾニー(Dr)の、内臓まで揺らされるかのような打音が求心力を産む。なんというバランス、なんという熱情か。

 初めての土地で自分たちのことを知らない多数の前で、客の懐に潜り込んで一気に高みまで持っていくということの非凡さを考えてみる。世界中のあちこちで今まで繰り返されてきたツアーで、まるで鍛錬された刀が一層強度を増し新たな光を纏うように、彼らも今ここにあった。

「シンパシー・フォー・ザ・バツバツバツバツバツ(Sympathy For The XXXXX)」で大きく身を揺らしながら歌うように踊るように叩くゾニーの横で「ボケっと見てんじゃねーよ馬鹿野郎」とフロアに吐き捨てハープを吹くケイゾウ。マーヤ&ケイゾウとフロアの「Foo Foo!」コールアンドレスポンスにゾニーのドラム・ソロが被さり、キメのところでゾニーがスティックを高らかに挙げ「Foo!」と一声上げたらば、その完璧さにカメラ抱え我も胸の中でガッツポーズである。

 マーヤが低い体勢で弾く為に一度ジャンプしてしゃがむ度、身体中から汗が迸った。「ゲット・アウェイ(GET AWAY)」を声の限り歌いあげると客に笑顔が生まれる。アンプに乗り、天井からぶら下がる照明のパイプをあたかもボトル・ネックのようにして擦りギターを弾くと、フロアが沸きに沸いた。

「左から小山雅史マーヤ、真ん中はMr.ゾニー、俺は西宮の大統領松尾ケイゾウと申します」ケイゾウが「69」の前にメンバー紹介をすると、フロアから拍手が起こった。

 行き着く場所がどこであるとか、目的が何であるとか、ロックンロール・バンドが転がる理由も止める理由も確かにあるのだろう。ただ、追いかけても追いつけない完璧なライヴを目の当たりにして、今鳴らしている音とがっぷり四つに組むだけに邁進する彼らが照らす道は、明るいと確信する。この日「俺たちがキングブラザーズ」と言ったケイゾウの言葉に尽きるのだ。

— set list —
Big Boss / 魂を売りとばせ! / XXXXX / Sympathy For The XXXXX / スーパーX / GET AWAY / ☆☆☆☆ / 虹と雲 / 69 / ルル /


喧嘩記念日『キングブラザーズ VS モーモールルギャバン 』
8月06日(日) @神戸スタークラブ

『ROCK’N'ROLL EXPRESS!』
THE NEATBEATS / KING BROTHERS / ザ50回転ズ and more
8月19日(土) @渋谷クラブクアトロ
9月01日(金) @名古屋クラブクアトロ
9月02日(土) @広島クラブクアトロ
9月10日(土) @梅田クラブクアトロ

 詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

切腹ピストルズ @ 渋谷クラブクアトロ 2017.07.15

極東最前線 ~ええじゃないかRIOT渋谷~(eastern youth, 切腹ピストルズ) @ 渋谷クラブクアトロ 2017.07.15

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響きと迫力
テキスト・レポート「響きと迫力」 @ 渋谷クラブクアトロ 2017.07.15

eastern youth

 この日の「極東最前線」は切腹ピストルズがゲストだった。開演予定時刻5分前くらいには準備も完了、演奏が始められるようになっていた。フロアの半分は和太鼓の人たちがスペースをとっている。自分の位置からは全体がみえなかったけど、だいたい総勢20人くらいがいた。和太鼓や笛、鐘、三味線と和楽器のバンドである。

切腹ピストルズ

 この名前はどこかでみたことあるな……と思って記憶を手繰り寄せていくと、2003年に三軒茶屋ヘヴンズドアでみたことある。音楽性も人数もこのときと全く別のものになっている。もしかすると同じ名前だった違う楽隊なのかもしれない。

 まずは「武蔵の国、○○宿に生を発し……」口上から入り、和太鼓の迫力が会場を揺るがす。舞台前のお客さんたちはすぐに和太鼓隊と混じりあって踊りだす。笛の音にお祭りのお囃子を感じるし、和太鼓の拍子には高円寺阿波踊りで観た最凶の連である苔作を連想してしまった。

切腹ピストルズ

「ある時、『粋じゃねえな』って気付いて。粋にしてみたら、こうなりました」といいながら演奏された、シャム69カオスUKデッド・ケネディーズの曲は切れ味、迫力がすごかった。三味線には電気的な加工がかかって荒々しいものになっているところに、和太鼓の突き上げるような拍子が持続していく。

 曲が終わるたびに次々と隊員たちが口上を述べるのだけど、まだ慣れてない隊員は緊張しているのか噛み噛みで、周りの笑いを誘う。そして群馬か栃木からでてきた八木節を「自棄(やけ)節」と変えて歌い踊る。一見さんを巻き込む乗りがすごい。

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 セットチェンジ中は、カーティス・メイフィールドが流れる。それがゴダイゴの「ザ・バース・オブ・ジ・オデッセイ~モンキー・マジック」に変わり、イースタンユースのメンバーが登場する。

eastern youth 吉野は切腹ピストルズに触発され、口上を真似てから、キリキリと唸りあげるギターが鳴り「砂塵の彼方へ」が始まる。イントロだけで歓声が上がる「夏の日の午後」。この日の気温は30度を超えて渋谷自体が熱せられているような真夏といっていい暑さだった。そんな日に聴く「夏の日の午後」。初期の「故郷」今の方がより成熟した音が鳴っている。髪がショートになった村岡ゆかもすっかりバンドに馴染み、田森との鉄壁のリズム隊を構成する。

 この日、一番思ったのは吉野のギターは音響的に最高だなということだった。最近でた『ギターマガジン』(2017年8月号)では「ニッポンの偉大なギタリスト100」という特集で、そのランキングに選ばれた人たちには文句はない。だけど、その100人に吉野寿が入ってないのはいかがなものかと思うのだ。まあ、ブラッドサースティー・ブッチャーズの吉村が入っているからな……。

eastern youth それにしても「男子畢生危機一髪」の後半、ギター1本で表現された重層的な響きは吉野ならではのもので、いつまでも浴びていたいと思うくらいだった。「青すぎる空」や「グッドバイ」でノイジーなんだけど、寂寥感あふれるギターも、一音目で惹きつけられる「荒野に針路を取れ」や「街の底」など、「ギターが上手い」には、指が速く動くとか、リズム感がよいとか評価があるけど、「響きがよい」というのも評価のひとつだろう。その意味ではニッポンの偉大なギタリストだと思う。もちろん、それは村岡と田森の支えがあってこそであるし、歌詞も声もメロディもすばらしい総合力が備わっているからだろう。

 アンコールはまず「ズッコケ問答」そして、もう1回の熱烈な拍手に応えて「裸足で行かざるを得ない」でフロアは湧き上がり締めくくった。このあとイースタンユースはアルバム発売とツアーが控えている。この日はほぼベスト選曲だったけど、それは変化の前触れか。まだまだ転がっていく彼らをみていきたいと思う。

eastern youth

–>フォトレポート(eastern youth)

–>フォトレポート(切腹ピストルズ)


— set list — (eastern youth)
砂塵の彼方へ / 夏の日の午後 / 故郷 / 夜の追憶 / ギラリズム夜明け前 / 青すぎる空 / 男子畢生危機一髪 / グッドバイ / 夜がまた来る / 荒野に針路を取れ / 沸点36℃ / 街の底

— encore —
ズッコケ問答

— encore 2 —
裸足で行かざるを得ない

 


極東最前線/巡業2017~おれたちのSONGentoJIYU~

 
10月21日(土) 千葉 LOOK
10月28日(土) 札幌 cube garden
10月29日(日) 弘前 Mag-Net『 弘前Mag-Net20周年記念』
11月 4日(土) 京都・磔磔
11月11日(土) 仙台 CLUB JUNK BOX
11月12日(日) 新潟 CLUB RIVERST
11月25日(土) 岡山 ペパーランド
11月26日(日) 福岡 DRUM Be-1
12月 2日(土) 名古屋 APOLLO BASE
12月 3日(日) 大阪 umeda TRAD
12月 9日(土) 渋谷 TSUTAYA O-EAST

ライジングサンロックフェスティバル @ 石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ 2017.08.10 – 11

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イントロ – 北の大地で極上の音楽を
特集 – 「イントロ – 北の大地で極上の音楽を」ライジングサンロックフェスティバル @ 石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ 2017.08.10 – 11

Rising Sun

 今年で19回目を迎えるライジングサンロックフェスティバル(以下、RSR)。早くもすべての入場券がソールドアウトになってしまった。それもそのはず。初出演となるB’zを筆頭に、あらゆる世代の音楽ファンをうなずかせる超豪華なアーティストが一堂に会するのだから。当日まで20日を切り、幸運にも入場券を手にした皆さんは、北の大地で繰り広げられるであろう熱いライヴやセッションに思いをはせ、毎日ドキドキ、ワクワクしながら当日を待ちわびているに違いない。そこで、RSRのプロデューサーである株式会社ウエスの若林良三氏(以下略敬称)とRSR広報の方に今年のセッションやコラボ企画についてお話をうかがった。

– 今年のRSRのテーマやコンセプトがあれば教えてください。

若林:テーマとして「今年はこれをやる!」ということは特になく、会場を取り巻く環境も変わりますし、時代の必然性だったり、失敗から学んだことから毎年改良改善をしていっていますね。強いて言えば、今年のテーマは「二世代でフェスに行こう!」ですかね。ここ数年家族連れのお客様が非常に増えてきています。昔であれば親に「ロック・コンサートに友達と行く!」と言ったら親に反対されていましたが、今では当たり前になってきていますから。お客様と積み重ねてきた年月を実感しています。

Rising Sun

– 2013年にはじまった「FRIDAY NIGHT SESSION」など多くのアーティストコラボが充実していますが、コラボ企画やセッションを多く仕掛けることになったきっかけを教えてください。

若林:CHABO(仲井戸麗市)さんに2013年RSRのメインステージをお願いしたことがきっかけで始まっています。やり続けていれば60歳過ぎのアーティストでもメインステージで出来るってことを、若手のアーティストたちにも感じてほしくて。「FRIDAY NIGHT SESSION」では一つのジャンルでくくって、RSRでしか観られないオリジナルな企画を創ろうということで、初年度から一緒にやって来たスタッフたちと一緒に企画しています。各年のテーマを形作るホストバンドがいて、そこに時代を超えた様々なゲストに出演していただきました。2014年は”Rock n’ Roll”をテーマにOKAMOTO’Sが、2015年は”Soul & Disco”をテーマにSCOOBIE DOが、2016年は”Folk Song”をテーマに真心ブラザーズがホスト役を務めてくれました。

– 今年の「FRIDAY NIGHT SESSION」は東京スカパラダイスオーケストラがホストとなり、半世紀に渡るスカの歴史をたどるセッションになるそうですね。ピーター・バラカンさんのMCとともに繰り広げられるであろう極上のスカビート、今から楽しみでなりません!このセッションについての追加情報をオープンにできる範囲の情報で構いませんので教えていただけると嬉しいです。

若林:スタッフと昨年の本番中に「来年どうしようか?何にしようか?」なんて雑談をしていました。昨年初めてピーター・バラカンさんにRSRにDJで参加してもらったのですが、ブルーズのセッションが始まる前にMCを交えブルーズを流してもらってからショウが始まる感じがすごく良かったんです。そこで、来年は”スカ”をテーマにピーターさんにDJしてもらいながら、ジャマイカからどのようにスカが広まって来たかってことを話してもらって、時代を遡ってその時代のアーティストの曲をゲストヴォーカルに歌ってもらうのはどうかなと。完全に妄想ですよね(笑)。ホスト役は「スカパラしかない!」ということで、彼らのマネージャーさんに相談をしたところすぐに快諾いただき、その数日後にはメンバーと打ち合わせして作成された手書きのセットリスト案が送られて来ました。あとは観てのお楽しみです!

Rising Sun

– 今年の3月1日に惜しくも亡くなったムッシュかまやつさんトリビュート企画「Song for ムッシュかまやつ」も、今年の大きな目玉ひとつだと思います。本企画への主催者の想いを教えてください。これまた出演者が豪華過ぎる面子ですが、どんなステージになるのでしょうか。KenKenさんホストで「LIFE IS GROOVE」との副題があるので、LIFE IS GROOVEのメンバーのKenKenさんと山岸竜之介さんのグルーヴィーに味付けされたザ・スパイダースをはじめとした数々の名曲で楽しく踊れるステージになりそうと勝手に妄想しているのですが(笑)。

若林:ムッシュかまやつさんには過去に3度、RSRに出演していただきました。最後に出演していただいたのがLIFE IS GROOVEのメンバーとしてでした。今年の春にムッシュさんの訃報を聞いて、LIFE IS GROOVEのメンバーのKenKenに「何かやろうよ!」って気がついたら電話していましたね。ムッシュさんは大御所なのに気取らず「若い才能は素直に認めないとね」って言ってたことが忘れられなくて。海外では歳とか性別とかプレイヤーは気にしないじゃないですか。フィーリングだけでやっちゃうみたいな。ゲストの奥田民生さんとかCharさんもムッシュさんの曲は自分達のライヴでも歌ってたりしたこともあって、KenKenを中心にムッシュさんのマネージャーさんたちみんなで選曲して、この曲は弾き語りでとか、これはデュオ~バンドでと構成を練っていきました。

– 音楽以外のお楽しみコンテンツや企画があれば教えてください。

RSR広報:RSRの開催場所である石狩市と小樽市とのコラボ企画が進行しています。石狩市とは今年出演する打首獄門同好会が石狩産の蛸を使った缶詰を製作中で会場で販売する予定です。これ、実際にメンバーがタコ漁に出たというアグレッシブな企画です(笑)。あと、小樽市とは銭函中学校の有志の学生たちとキュレーターのシンヤチサトさんとともに、銭函のビーチクリーンを行いました。その時に拾ったゴミを使ってアート作品を作り会場に設置する予定です。

 いかがだっただろうか。今年のRSRならではの魅力的な企画が満載だ。他にも、山口洋と仲井戸麗市と宮沢和史による「MY LIFE IS MY MESSAGE」や石野卓球が手掛ける新たなDJパーティー「SONIXTATION」、そして朝陽を迎えるくるりのクロージングライヴなどなど、枚挙にいとまがない。幸運にも我々が今年のRSRを取材する機会に恵まれた。我々らしく音楽愛いっぱいに現場を楽しみ尽くし、たった今そこにある楽しさを生々しくお伝えしたいと思う。

Rising Sun

※写真はライジング・サン・ロック・フェスティヴァルのオフィシャルから提供されたものを使用しております。

<RISING SUN ROCK FESTIVAL 2017 in EZO>
2017年8月11日(金)、12日(土)
北海道 石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2017 in EZOオフィシャルサイト

<出演者>
SUN STAGE
10-FEET / B’z / UVERworld / レキシ

EARTH TENT
LiSA / 女王蜂 / SCANDAL / THE ORAL CIGARETTES / Nothing’s Carved In Stone / 打首獄門同好会(for CAMPERS)

RED STAR FIELD
チャラン・ポ・ランタン / H ZETTRIO / ストレイテナー / THE BACK HORN / Chara / FRIDAY NIGHT SESSION ~SKA IS THE PARADISE~(for CAMPERS)

<FRIDAY NIGHT SESSION ~SKA IS THE PARADISE~(for CAMPERS)出演者>
東京スカパラダイスオーケストラ
MC / DJ:ピーター・バラカン
GUEST:チバユウスケ(The Birthday) / 中納良恵(EGO-WRAPPIN’) / 峯田和伸(銀杏BOYZ) / YONCE(Suchmos)

RED STAR CAFE
武田英祐一(THE武田組) / Saucy Dog

BOHEMIAN GARDEN
手嶌葵 / Rei & NakamuraEmi / チャットモンチー / Gotch & The Good New Times / 勝手にしやがれ / Midnight Bankrobbers / Song for “ムッシュかまやつ”~LIFE IS GROOVE~(for CAMPERS) /
稲川淳二(for CAMPERS)

<Song for “ムッシュかまやつ”~LIFE IS GROOVE~(for CAMPERS)出演者>
HOST:KenKen(LIFE IS GROOVE、RIZE、Dragon Ash) / 奥田民生 / 金子マリ / シシド・カフカ / Char / 斉藤和義 / 山岸竜之介(LIFE IS GROOVE)

RAINBOW SHANGRI-LA
清水ミチコ / G-FREAK FACTORY / THE BEATNIKS / 夜の本気ダンス / LOSALIOS / Creepy Nuts(R-指定&DJ 松永)(for CAMPERS)

def garage
浪漫革命 / ココロオークション / ビッケブランカ / ヒステリックパニック / KNOCK OUT MONKEY / ねごと / 雨のパレード / SANABAGUN. / 岡崎体育

2017年8月12日(土)北海道 石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ
<出演者>
SUN STAGE
SHISHAMO / WANIMA / back number / 久保田利伸 / [Alexandros] / マキシマム ザ ホルモン / RIZE / くるり

EARTH TENT
フレデリック / BLUE ENCOUNT / go!go!vanillas / SUPER BEAVER / MONOEYES / OLDCODEX / TK from 凛として時雨 / PANDAS / My Hair is Bad / MONGOL800

RED STAR FIELD
SCOOBIE DO / never young beach / ユニコーン / 斉藤和義 / Cornelius / Suchmos / 銀杏BOYZ

RED STAR CAFE
JOHNSONS MOTORCAR / ReN / 尾崎世界観(クリープハイプ)

BOHEMIAN GARDEN
エマーソン北村 / ハシケントリオ / John John Festival / 長岡亮介(ペトロールズ) / OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND / さかいゆう feat. 福原美穂 SOLAR JAM / MY LIFE IS MY MESSAGE(山口洋、仲井戸麗市、宮沢和史) / IN THE MIDNIGHT HOURS / ROTH BART BARON

<IN THE MIDNIGHT HOURS出演者>
T字路s / blues.the-butcher-590213 with うつみようこ+佐藤タイジ+田中和将 / 松竹谷清&Chocolate Dandies(エマーソン北村[Key] / 山口大輔[Dr]) / Rei

RAINBOW SHANGRI-LA
sumika / フジファブリック / F-BLOOD / Nulbarich / ぼくのりりっくのぼうよみ / Awesome City Club / SONIXTATION

<SONIXTATION出演者>
DJ:石野卓球 / 大沢伸一 / Licaxxx
LIVE:agraph / D.A.N. / OKURAMIRAI / MASARU
VJ:DEVICEGIRLS

def garage
The Cynical Store / BAND-MAID / 岸谷香 / 175R / ZAZEN BOYS / eastern youth / 夏木マリ / 天才バンド / きのこ帝国 / NOT WONK / SLANG / MOROHA / BAZRA / the peggies

キングブラザーズ (KING BROTHERS) @ 神戸 みなとのもり公園 2017.08.05

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灼熱の魂が燃え上がる
フォトレポート @ 神戸 みなとのもり公園 2017.08.05

キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)

 容赦ない夏の日射しが照りつける15:30。気温が体温を超えるほどの灼熱のみなとのもり公園に、不釣り合いな黒いスーツの出で立ちでキングブラザーズがステージに立つと、手持ち無沙汰に時間をやり過ごす人々に強烈な印象を植え付けた。去年、出禁になるほどの暴れっぷりを見せたマーヤ(G/スクリーム)は今回奇をてらうことなく時折笑顔を見せ、ケイゾウ(Vo/G)は決死の形相を浮かべ、ゾニー(Dr)は全身を赤く染めながら、いつになく硬派なステージングを見せた。

 今年4回目を迎えた東北支援の為のチャリティ・イベント『カンパイKOBE』がみなとのもり公園で行われた。ケイゾウの「1mmでも前にきたほうがいいぜ、ロックンロールで一つになろうぜ」という叫びにゾニーのドラムが重なる「マッハクラブ」で「去年のカンパイKOBEと何が違う。酒がない、酒をよこせ」と叫ぶマーヤ。客から日本酒の瓶を投げてもらうも空。次第にキレ始めるマーヤがニシノミヤ・コールをキメると、今村岳司西宮市長が呼び込まれる。市長はギターをぐるぐる回してステージ上を華やかに彩った。

「酒も飲ましてくれない、前にも飛んだらダメ、ここで水こぼしたらダメ、そこ登ったらだめ、ファッキュー!」マーヤがアンプに登っては飛び降り、ステージを転がり歌い、弾くにつれ客のボルテージはうなぎ登りに上がっていく。

 最後の「ルル」で酒樽に立つマーヤが、ニシノミヤ・コールを客に煽ると、小槌を大きく振りかざし鏡割りをやりきった。

 酒どころ西宮が生んだキングブラザーズが、今年も9月24日『ゑびすロックフェスティバル VoL.3』を開催します。去年大盛況のうちに終えたこのイベント、盛り上がり必至です。


開催日 : 9月24日(日)
時間 : 開場16:30、開演17:00
出演 : THE BAWDIES、ギターウルフ、ザ・たこさん、KING BROTHERS  
特別出演 : 天才ウクレレ少年/近藤利樹
場所 : 兵庫県西宮市民会館アミティホール (西宮市六湛寺町10番11号)
アクセス : 阪神「西宮」駅市役所口改札北へ徒歩1分、JR「西宮」駅から西徒歩約10分

 詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

 


イースタンユース (eastern youth) @ 石狩湾新港 ライジング・サン・ロックフェスティバル 2017.08.12

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物語を生きる
フォトレポート @ 石狩湾新港 ライジング・サン・ロックフェスティバル 2017.08.12

eastern youth
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 ライジング・サン・ロックフェスティバルにイースタンユースが登場するのは、2014年以来。今回は村岡ゆか(Ba)加入以降、初の出演となった。

 前日から雨が降り続いていた。出演したのはデフ・ガレージという屋内ステージで、演奏開始時間は18時50分。ザゼン・ボーイズの次の出番だったので、そのまま同じステージにとどまって、イースタンユースを待っていた観客も多かったのではないだろうか。吉野寿(G/Vo)がステージに登場するなり、次々に声援が飛ぶ。吉野が観客に、アンプの上に置いてある中指を立てた形のモデルハンドを向けてみせると、拍手と声援は一層大きくなる。吉野はギターを手に取り、村岡、田森篤哉(Dr)とともに轟音を響かせる。

「マツリスタジオからやってまいりました。ザゼン・ボーイズです。ウソ! イースタンユース!」

 まさかのツカミにワッと湧き上がった歓声とともに「砂塵の彼方へ」。キレよく硬質な音塊と、吉野の渾身のボーカルが、テント内を震わせる。息つく間もなく「夏の日の午後」。イースタンユース屈指の代表曲は、観客の絶妙な合いの手に彩られる。間奏は吉野の情熱的なギターソロを、村岡と田森がダイナミックに支え、吉野と観客によるコーラスがテント中に響き渡った。演奏後、ステージに声援が次々と送られるなか、「吉野寿ー!!」 の声援には、「フルネームで呼ぶな!」と吉野がすかさずツッコミを入れたりして、ドッと笑いが起こる。

「あいにくの雨ですが、それでも雲の上にはね、空がありますよ。見えるものだけが、大事なものじゃないんだよ」

と語って、「青すぎる空」。イントロで田森の刻むリズムに村岡のベースが乗った瞬間に起こった歓声や、間奏直後、吉野と観客の「いずれ暮らしの果てに散る」の歌声がシンクロしてキマった様には、胸が熱くなった。「男子畢生危機一髪」も、観客のシンガロングとともに駆け抜ける。

「ロックで心をひとつになんかする必要、ねぇんだ。むしろ、ロックでバラバラになって、自分を取り戻せ」

 いままでも同様の発言はあった。あちこちのステージで「一体感」が満ちあふれるロックフェスで、毅然とこんなセリフを放つことができるのは、吉野だけである。20年以上演奏され続けてきた「裸足で行かざるを得ない」とともに、イースタンユースの矜持をかけた一貫性が立ち上がる。演奏後には「村岡さん最高!」の声援もあり、村岡も笑顔を見せた。

「俺たちもう一回、雪のテレビ塔の下で会おうぜ」

の言葉とともに始まった「テレビ塔」。肌寒さのある湿った空気の中、身体中から湯気を立ち上らせながら歌う吉野。一音一音に魂の込められたギターの音色。曇った眼鏡。不安定な歌声と、絶叫。両頬を伝う涙。

 ’99年、第1回目のライジング・サン・ロックフェスティバルで、夜明けの時間に演奏したのは、ブラッドサースティー・ブッチャーズだった。吉村秀樹がギターを天高く投げた場面は、伝説となっている。年月が流れ、18回目の同じフェスで、イースタンユースは壮絶な演奏を繰り広げ、この曲で吉村に想いを馳せた観客もいたことだろう。袖では、深夜に同じステージに出演するスラング(SLANG)のメンバーも、演奏を見守っていた。この日観客が立ち会ったのは、北海道の地で始まり紡がれてきた、「俺たち」の物語の一幕だった。

「すっかり日も落ちてしまいました。我々、街の底に帰る時間がやってまいりました。イースタンユース、『街の底』、ありがとう」

 大歓声に迎えられた「街の底」。間奏で吉野は一歩一歩力強い足取りでステージ中央まで踏み込んでいき、飛び立つように両腕を広げた。’15年9月の村岡新加入時の初ライヴの1曲目は「街の底」だった。この曲で再始動したイースタンユースが、2年をかけてふたたび「街の底」へと帰結していくような堂々のラスト。「テレビ塔」が「俺たち」の物語を体現したのならば、「街の底」はこれからも進み続ける、イースタンユースのヒリヒリとしたリアリティーに満ちた物語を象徴しているのだと思った。

 3人は満場の拍手に見送られて、ステージを後にした。この物語は、9月27日(水)に発売される、村岡加入以降初のリリースとなる新しいアルバム、『SONGentoJIYU』(ソンゲントジユウ)、そして10月21日(土)、千葉ルックから始まる全国ツアーへと続いていく。


— set list — (eastern youth)

砂塵の彼方へ / 夏の日の午後 / 青すぎる空 / 男子畢生危機一髪 / 裸足で行かざるを得ない / テレビ塔 / 街の底

 


極東最前線/巡業2017~おれたちのSONGentoJIYU~

 
10月21日(土) 千葉 LOOK
10月28日(土) 札幌 cube garden
10月29日(日) 弘前 Mag-Net『 弘前Mag-Net20周年記念』
11月 4日(土) 京都・磔磔
11月11日(土) 仙台 CLUB JUNK BOX
11月12日(日) 新潟 CLUB RIVERST
11月25日(土) 岡山 ペパーランド
11月26日(日) 福岡 DRUM Be-1
12月 2日(土) 名古屋 APOLLO BASE
12月 3日(日) 大阪 umeda TRAD
12月 9日(土) 渋谷 TSUTAYA O-EAST

グラストンバリー・フェスティバル (Glastonbury Festival) in ピルトン・サマーセット (Pilton, Somerset) 2017.06.21 – 25

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特集 – 総集編フォト・レポート (齋藤允宏編)
特集 – 「総集編フォト・レポート」(齋藤允宏編)@ ピルトン・サマーセット (Pilton, Somerset) 2017.06.21 – 25

グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)
グラストンバリー・フェスティヴァル (Glastonbury Festival)

 初めてグラストンバリーの事を知ったのは高校生の時に観たジュリアン・テンプルによるドキュメンタリー映画。当時バンドを組んでいた自分にとって、そこに映っていた大勢の観客と巨大なステージで派手なパフォーマンスをするミュージシャンに目が釘付けになったのをよく覚えている。あれから10年が経って、とうとう今年初めて訪れる事が出来た。

 一般ゲートが開く水曜日の前日、火曜日の入場を目指し緑豊かなイギリスの田舎町を車で走っていると無数の巨大な旗が見えてくる。木々の間からちらちら見えるたび、本当にグラストに来たんだという実感が湧いてくる。厳しい手荷物検査を通って会場に入ると、すでに大勢の人がこの中で働いていて、この日はスタッフだけのパーティーが開かれているというので夕食を終えてから早速行ってみることにした。テントからでも灯りが見えたのですぐ着けるかなと思ったが歩けど歩けど一向にたどり着かない。もうほとんど迷子に近い状態で結局2時間ほど彷徨いやっとのことでたどり着くと会場はかなり盛り上がっていて、明日も仕事なんでしょう?とツッコみたくなるほどハメを外してる人たちで溢れている。爆音でテクノからポップスまで何でもかけてくれるDJに楽しくなって結局自分もかなり深い時間まで遊んでしまった。

 翌朝、ヘリコプターの音で目が覚める。どうやら会場の外の道路が入場待ちの車で大渋滞らしく、その光景を報道ヘリが撮影しているのだそう。昨晩どうやってテントに戻ってきたのかいまいちハッキリしないけど、とりあえず撮影前に一度シャワーを浴びることにした。テントを張ったホスピタリティ・エリアには24時間使える個室のシャワー室が並んでいてそのほとんどはお湯まで出てくる。グラストはシャワーなんて無いと聞かされていたので、これは嬉しい。何せ今年は記録的な暑さらしく、立っているだけで汗が止まらない。これで一週間はちょっとキツイなぁと思っていたところにシャワー、しかもお湯まで出るなんて。さっぱりしてからカメラを持って散策し始めると、大量の荷物を担いだり紐で縛って引きずったりしてキャンプサイトを目指す人達が目に入る。こっちの人達が使うテントはとにかくデカいか、極端に小さい。そして張り方がかなり適当。ペグを全然打っていないテントもそこら中にある。でもそんなことあまり気にしていないみたいで、テントが壊れても汗びっしょりになりながら荷物を運んでいてもみんな本当に楽しそうに笑っている。きっとここに来ることを一年間、もしかしたら何年間も待ちわびていたんだろう。崩れたテントの前で半裸になって遊んでいる彼らからは意地でも楽しんでやるという気迫さえ感じる。会場は時間が経つにつれてどんどん人が増えていき、木曜日にはもう何処もかしこも人で溢れかえった。翌日からはライヴの撮影が主になってくるので、この日は出来る限り歩いてまわった。笑っちゃうくらい大量の酒を飲んでるおじいさん、コスプレをして練り歩いてる集団、会場中に立っている巨大な旗によじ登る若者、立ち小便をしている男を見つけては大声で罵倒して止めさせてまわっている女性、持ち寄った楽器でセッションをしている人たち。歩けば歩いた分だけ色々な人たちに出会う。目に入る人全員が魅力的で、焼け付くような暑さの中でひたすら声をかけて写真を撮り続けた。日が暮れる頃、会場の奥にある塔に登ってみるとグラストの全景を見渡す事ができた。このフェスが如何に大きいか、話では何度も聞いていたけど実際にこの目で見るとフェスというよりは街にしか見えず、有り得ないくらい巨大なものだった。

 金曜日になりライヴが本格的に始まると24時間何処にいても音楽が聴こえてくるようになった。一番大きいピラミッド・ステージからタイムテーブルには載っていない小さな場所まで、会場に無数に存在するステージで繰り広げられるライヴはどれもクレイジーで最高なものばかりだし、何もなくても誰かが勝手に歌いだせばそれがやがて大合唱になっていく。フェス中、何故かホワイト・ストライプスの「セブン・ネイション・アーミー」のギターリフのメロディを合唱する人がたくさんいて、土曜日に労働党党首のジェレミー・コービンが大観衆を前に演説をしてからはリフのメロディに合わせて彼の名前を連呼する光景をよく目にした。
 
 広い会場にはボランティア含め本当に大勢のスタッフがいるけれど、彼らの活き活きと働く姿が印象に残っている。みんな本当に気さくで、拙い英語を話す自分に対しても親切に対応してくれる。日本のイベントではこんなに楽しそうに働く人たちはなかなか出会えないなあと思い、次第にアーティストではなくセキュリティ・スタッフを撮りにステージに行くようにもなった。任された仕事はしっかりこなしながら、自分自身も楽しんでいる姿はとても素敵だ。最前列の客と記念撮影したり、BGMに合わせて踊っていたりとグラストの自由気ままな雰囲気はこの人たちが作っているのかもしれない。

 金曜から日曜までは本当にあっという間。連日昼からライブを撮り始めてヘッドライナーが終わった後は明け方まで会場を歩きまわって写真を撮り続けた。この時期のイギリスは極端に夜が短いので遊んでいるとすぐに朝がやってきてライヴが始まる。ろくに眠れない毎日だったけど、寝るのも惜しいほど楽し過ぎてずっと動き回っていた。

 長くなってしまったけれど、今回初めて経験したグラストンバリーで一番感動したことはここに来る大勢の人たちがもつ熱量の高さだ。一般の客もスタッフも、ここにいる全員が一年のうちの数日間自由を感じられるこの空間を全力で楽しもうとしていて、そういう人たちが何十万人も集まるからこそ、あの異様なまでの熱気が生まれているのだと思う。 今の時代、写真や映像でいくらでも情報を手に入れる事が出来るので想像と全然違うという事はなかった。けど、実際に肌で感じるとそのどれもが想像より遥かに巨大で、迫力があって、そして滅茶苦茶で楽しい事ばかり。

 次の開催は2019年。この桁外れのパワーを持つモンスター・フェスティバルは音楽が好きな人には絶対にお勧めしたい。本当に素晴らしい最高の6日間だった。

レディオヘッド (RadioHead) @ ピラミッド・ステージ、グラストンバリー・フェスティヴァル 2017.06.23

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キャリアを総括する圧巻のステージ
フォトレポート @ ピラミッド・ステージ、グラストンバリー・フェスティヴァル 2017.06.23

RadioHead
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 初日のヘッドライナーを務めたレディオヘッドは照明の消えた暗いステージに登場した。 

 静かなピアノのイントロが印象的な「デイ・ドリーミング」でライヴが始まる。ゆっくりと囁くように歌いだすトム・ヨーク。望遠レンズで撮っていると時々トムと目が合ったと感じる時があって、その虚ろな表情に吸い込まれそうになる。

 幻想的な一曲目から流れるように始まった「ラッキー」で一気にエモーショナルになったバンドの演奏にこの場に集まった10万人はいるだろう観客から物凄い歓声と大合唱が産まれる。続く「フル・ストップ」では瞬くストロボの中で見悶えながら歌うトムの姿が印象的だった。この日のライヴは20周年を迎えた『オーケー・コンピューター』と新作『ア・ムーン・シェイプド・スーン』を中心にバンドの代表曲のオンパレードとなったけれど、合唱が起きるメロディアスな曲から強靭なビートで畳みかける曲まで、本当にどんな音楽でもやれるんだなと今更ながら思う。

 撮影が終わり、後ろ髪を引かれつつもプレステントに戻って作業していると「クリープ」が始まり、観客による地鳴りのような歓声がここまで聴こえてきた。ラストの「カルマ・ポリス」ではメンバーがステージを去った後も合唱が止むことはなく、それを聴きながらレディオヘッドは本当に特別なバンドだという事を実感した。

–>フォトレポート (Major Lazer)

キングブラザーズ (KING BROTHERS) @ 神戸スタークラブ 2017.08.06

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正面突破の正攻法
フォトレポート @ 神戸スタークラブ 2017.08.06

キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)
キングブラザーズ (KING BROTHERS)

 彼らがここでワンマン・ライブを行なって1年。去年一旦閉店したスタークラブは今年復活し、この日はキングブラザーズが続けているイベント「喧嘩記念日」が開催された。今回の相手は、アルバム「ヤンキーとKISS」をリリースしたばかりの、モーモールルギャバンだ。ゲイリー・ビッチェ(Vo/Dr)の、先輩キングブラザーズをディスっては謝り、喧嘩をふっかけてきたのはそっちだ!と開き直ったりというMCは、どちらのファンをも惹きつけた。

 キャッチーなモーモールルギャバンの世界から一転「今日は俺たちと君たちの喧嘩だぜ!」というケイゾウ(Vo/G)の煽りから始まったのは「ドカドカ」だ。ゾニー(Dr)の打ち鳴らすビートに観客は理性をひっぺがされ、思うがままに踊らされる。サングラスをかけたケイゾウが「そうだよ退屈なんだちっとも楽しめない」と吐き出すごとにフロアの熱気は最高潮へと突っ走る。マーヤ(G/スクリーム)がヴォーカルを取る「ゲット・アウェイ(GET AWAY)」で客はもみくちゃになりながら、前へ前へとマーヤに引き寄せられた。

 続く「69」のケイゾウの訴えかけるようなボーカル、間奏ではケイゾウのベース・ギターとマーヤのリード・ギターが聴覚を覆い尽くし、鮮やかさを産み出すゾニーのドラムが揺るぎないバンドの存在感を牛耳っている。要所要所でケイゾウとマーヤが真正面を向きコーラスを挟むのも、二人が力づくで転がしてきたこのバンドを思い、グッときてしまう。

「キル・ユア・アイドル」で「お前のアイドルをズタズタにしてやるよ」と歌うケイゾウの悪意は「今俺たちが信じてるロックンロール、他に鳴ってるのは全部デタラメだ。君たちと俺たちしかこの世に中いない、頼むよお前ら」という言葉からも垣間見える願いの裏返しだ。「黒く塗れ!!」では3人のアクションが次第に大きくなり、ゾニーの叩くシンバルが合図となって、フロアはぐちゃぐちゃに盛り上がる。

「ビッグ・ビート」でケイゾウはメンバーを紹介していく。ドラム・ソロを叩くゾニーに歓声が上がると「ロックンロールは早いだけじゃないぜ」と、汗をボトボト全身から落としながら弾くマーヤには「やばすぎるぜ、Mr.マーヤ、ヤバすぎるでしょ」と更にフロアからの歓声を引き出した。

 マーヤがフロア後方で見ていたモーモールルギャバンのゲイリー・ビッチェに向かって「バンドの世界の縦社会思い知らせてやろか!」と喧嘩を売りまくった「マッハ・クラブ」。モーモールルギャバンの「パンティー泥棒の唄」を引き合いに出し「パンティ脱いでもってこい、ゲイリー俺にパンティ投げろ!」と煽られたゲイリー・ビッチェが投げたパンティを咥えながらの「ニ・シ・ノ・ミ・ヤ」コール・・・狂っている、最高すぎる。

 そこからひるがえっての「ドゥ・ドゥ・スクラッチ(Doo Doo Scratch)」の渋さったらなかった。アルバム『6×3』の1曲目を飾るこの曲は、ケイゾウとマーヤの声の掛け合いから始まる。続く「XXXXX」とに挟まれ、剥き出しのロックンロールに血肉を与えていくような実直さが見えた。
 
 彼らの「見せて」「聞かせる」ステージングの、的を射た緩急のつけ方は天才的とも言えるのではないか。最後の曲「ルル」でマーヤがJ-Popが一番上じゃない、その上にロックンロールがある、全員来い!と叫んで派手にクラウドサーフをしたのち「ロックンロールは何度でも立ち上がるんやで!ニ・シ・ノ・ミ・ヤ!」と客に何度も「ニ・シ・ノ・ミ・ヤ」叫ばせると2階に横渡しされている鉄パイプに両足をかけ、メリメリと上半身を起こした。マーヤがその高みに到達するとき、ケイゾウとゾニーの衝動は連動し、奏でる音と共に否応無い磁場を生む。両腕をこれでもかと高く挙げた客の腕の上、腹筋だけで上体を持ち上げギターを弾くマーヤのヒーロー感は唯一無二の存在だった。

 序盤にケイゾウが「俺たちと君たちの喧嘩だぜ!」という言葉を放ったのは、惜しみなく渡される彼らの音楽が喧嘩を買った者に手渡され、生き生きと息を吹き返すことを掌握しているからだろう。正面突破の正攻法で勝利を得られるのが、ロックンロール・ヒーローの証なのだ。

— set list —
ドカドカ / GET AWAY / 69 / Kill Your Idor / 黒く塗れ!! / Big Beat / Sympathy For The XXXXX / マッハクラブ / Doo Doo Scratch / XXXXX / ルル /


『ROCK’N'ROLL EXPRESS!』
THE NEATBEATS / KING BROTHERS / ザ50回転ズ and more
8月19日(土) @渋谷クラブクアトロ
9月01日(金) @名古屋クラブクアトロ
9月02日(土) @広島クラブクアトロ
9月10日(土) @梅田クラブクアトロ

『ゑびす・ロック・フェスティバル』
9月24日(日) @ 兵庫県西宮市民会館アミティホール
アクセス : 阪神「西宮」駅市役所口改札北へ徒歩1分、JR「西宮」駅から西徒歩約10分
時間 : 開場16:30、開演17:00
出演 : THE BAWDIES、ギターウルフ、ザ・たこさん、KING BROTHERS  
特別出演 : 天才ウクレレ少年/近藤利樹

 詳細はオフィシャルサイトをご覧ください。

 

Nishinomiya City & Okabe “tommy” Tomoko presents キングブラザーズ写真展 @ 西宮市役所

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西宮市の中心で最高のロックンロール、お見せします
告知 :「キングブラザーズ写真展 at 西宮市役所」

King Brothers

 1998年に3ピース、ベースレス・ロックンロール・バンドとしてアルバム『KING BROTHERS(通称:BULB盤)』をリリースして間も無く20周年を迎える、キングブラザーズ。結成してから今日まで、兵庫県西宮市に拠点を置き国内外でライブを行なっています。

 この度、スマッシング・マグで取材活動をしながら彼らを撮影し続けている、西宮市在住のカメラマン岡部”tommy”智子と西宮市とで、2017年9月4日(月)〜9月28日(木)の1ヶ月間、西宮市役所2階ギャラリーにてキングブラザーズ写真展を開催することになりました。

ヱビス・ロック・フェスティバル  2015年12月23日、西宮市役所のすぐ隣にある市民会館、別名「アミティホール」で、主催 : 公益財団法人西宮市文化振興財団 共催 : 西宮市/キングブラザーズ という行政とロックバンドがタッグを組み 『ゑびす・ロック・フェスティバル』というロックフェスを開催するという異例の事態で話題をかっさらいました。あれから2年。今年第三回となる『ゑびす・ロック・フェスティバル』が9月24日(日)に行われるのを機に、過去のゑびす・ロック・フェスティバルはもちろん、キングブラザーズの様々なライブ写真をセレクトし、市役所内ギャラリーに展示いたします。

 この写真展並びに『ゑびす・ロック・フェスティバル』を通じて西宮市民の皆様はもちろん、より多くの方々に、西宮を掲げて国内外で活躍するキングブラザーズを知っていただければ幸いです。市役所という場所柄、会期中の土日祝日を省いた平日9時〜17時30分に入場無料でご覧になられます。西宮市観光がてら、ぜひ西宮市にお越しください。

 写真展についてのお問い合わせは、岡部まで(下記参照)。詳細はキングブラザーズ・オフィシャルサイトをご覧ください。


『キングブラザーズ写真展 at 西宮市役所』
【会期】2017年9月4日(月)〜9月28日(木)平日のみ 時間 : 9:00〜17:30 
【会場】西宮市役所 本館 2Fギャラリー
    兵庫県西宮市六湛寺町10-3
【TEL】0798-35-3151(代表)
【料金】無料
【詳細】 キングブラザーズ・オフィシャルサイト
【問い合わせ先】tommy@smashingmag.net (岡部)


『ゑびす・ロック・フェスティバル』
【開催日】9月24日(日)
【会場】 兵庫県西宮市民会館アミティホール
【アクセス】阪神「西宮」駅市役所口改札北へ徒歩1分、JR「西宮」駅から西徒歩約10分
【時間】開場16:30、開演17:00
【出演】THE BAWDIES、ギターウルフ、ザ・たこさん、KING BROTHERS  
【特別出演】天才ウクレレ少年/近藤利樹
【詳細】 キングブラザーズ・オフィシャルサイト

 

ボー・ニンゲン (Bo Ningen) @ パーク・ステージ、グラストンバリー・フェスティヴァル 2017.06.23

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パーク・ステージをに虜にした4人の日本人
フォトレポート – ボー・ニンゲン (Bo Ningen) @ パーク・ステージ、グラストンバリー・フェスティヴァル 2017.06.23

Bo Ningen
Bo Ningen
Bo Ningen
Bo Ningen
Bo Ningen
Bo Ningen
Bo Ningen
Bo Ningen
Bo Ningen
Bo Ningen
Bo Ningen

 昼間のパーク・ステージに到着したのはひとつ前のライヴが終わる少し前。辺りを見渡すと客はまばらで、メイン・ステージのひとつにしては少し寂しいなと思ってしまう。

 メンバーが登場してタイゲン(Vo/Ba)の「行きますか!」という一言で演奏が始まると暫くはステージ上の撮影に夢中になってしまった。ボーニンゲンのライヴを観るのは2度目だったけど、シンプルで軽快ですらあるメロディを深くかかったエコーやディレイで鳴らす音楽は一度聴けば忘れられないし、細身で長髪を振り乱しながら演奏する姿はかなりのインパクトがある。

 ライヴの終盤、タイゲンがステージを飛び降り観客の方まで駆け寄ってきたところで後ろを振りかえるといつの間にか大勢の人たちが集まっていた。全身でベースを弾くその姿に大歓声で応える観客たち。ボー・ニンゲンは本当にこの国で受け入れられているんだなと実感したライヴだった。

–>フォトレポート (The Lemon Twigs)

メジャー・レイザー (Major Lazer) @ アザー・ステージ、グラストンバリー・フェスティヴァル 2017.06.23

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快楽的なEDMタイム
フォトレポート – メジャー・レイザー (Major Lazer) @ アザー・ステージ、グラストンバリー・フェスティヴァル 2017.06.23

Major Lazer
Major Lazer
Major Lazer
Major Lazer
Major Lazer
Major Lazer
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Major Lazer
Major Lazer

 ピラミッドでのレディオヘッドの撮影が終わりアザー・ステージに行くと、そこには如何にもパーティー・ピープルといった感じの若者が大勢集まっていた。みんな漏れなく酔っぱらっているようだし、早く騒ぎたくてしょうがないといった感じ。なんだかセキュリティのテンションもちょっと高い。メジャー・レイザーはそんな若者たちを大音量のダンス・ミュージックとド派手な演出でこれでもかと煽っていく。セクシーなダンサーたちが登場したり、透明なボールに入って数万人のオーディエンスの波を転がっていったりと会場は異様に盛り上がり、アザー・ステージは完全に巨大なクラブと化していた。
 

–>フォトレポート (Liam Gallagher)


ザ・レモン・ツイッグス (The Lemon Twigs) @ ジョン・ピール・ステージ、グラストンバリー・フェスティヴァル 2017.06.23

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瑞々しさ全開の兄弟
フォトレポート – ザ・レモン・ツイッグス (The Lemon Twigs) @ ジョン・ピール・ステージ、グラストンバリー・フェスティヴァル 2017.06.23

The Lemon Twigs
The Lemon Twigs
The Lemon Twigs
The Lemon Twigs
The Lemon Twigs
The Lemon Twigs
The Lemon Twigs

 10代でデビューした去年以降、世界中のフェスティバルに出演しているザ・レモン・ツイッグス。グラストでも注目度は高く、観客は勿論プレスの数も多い。

 ステージに現れた2人を見ての第一印象は「若い!」サポートの2人も含めて、もう、目の輝き方からしてまだ全然大人じゃない。少しぎこちない動きも相まって、まるで高校生のバンドのよう。でも鳴らす音は本当にかっこいい。妙にクセになるポップな楽曲を精確に、一見激しいパフォーマンスをしているようで実は丁寧に弾く姿からは年齢とのギャップを感じて、それがとても魅力的だった。

–>フォトレポート (Royal Blood)
 

 

ロイヤル・ブラッド (Royal Blood) @ ピラミッド・ステージ、グラストンバリー・フェスティヴァル 2017.06.23

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新世代のロック・デュオ、グラストに登場
フォトレポート – ロイヤル・ブラッド (Royal Blood) @ ピラミッド・ステージ、グラストンバリー・フェスティヴァル 2017.06.23

Royal Blood
Royal Blood
Royal Blood
Royal Blood
Royal Blood
Royal Blood
Royal Blood
Royal Blood
Royal Blood

 デビューからたった数年でスターダムを駆けあがった感のあるロイヤル・ブラッドがピラミッド・ステージに登場した。

 マイク・カー(Vo/Ba)のベースから放たれるリフは積み上げられたアンプを介して物凄い音圧で放たれ、着けている耳栓が揺れるほど。どの曲も基本的にシンプルなリフとキャッチーなメロディで構成されたこれぞスタジアム・ロックといった曲が並び、全曲もれなく大合唱が起こっていた。これだけ分かりやすくロックしてくれたら、じっとしているほうが無理だ。そしてなにより、これだけ力強い演奏をたった二人でやりきってしまう事に驚く。鳴っている音は本当にベースとドラムと声だけなのに。マイク・カーのベースは上2本の弦がギター弦だとか、ベース・アンプとギター・アンプを同時に使用してたりと機材面での工夫もあるんだろうけど、そもそも二人の阿吽の呼吸があるからこそ生まれるグルーヴなんだと感じた。

 表情も余裕たっぷりといった感じで、ピラミッド・ステージがよく似合っていた。

–>フォトレポート (RadioHead)

リアム・ギャラガー (Liam Gallagher) @ アザー・ステージ、グラストンバリー・フェスティヴァル 2017.06.24

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帰ってきたロック・スター
フォトレポート – リアム・ギャラガー (Liam Gallagher) @ アザー・ステージ、グラストンバリー・フェスティヴァル 2017.06.24

Liam Gallagher
Liam Gallagher
Liam Gallagher
Liam Gallagher
Liam Gallagher
Liam Gallagher

 会場の奥の奥までびっしりと人で埋まり超満員のアザー・ステージはライヴ前から発煙筒が焚かれオアシスの曲を合唱する人たちであふれて、異様な熱気に包まれていた。

 リアムが登場するとそれだけで悲鳴にも似た大歓声が起きる。みんな、この時を待っていたのだ。「ロックンロール・スター」からスタートしたライヴは当然のように全員で歌いっぱなし。2曲目の「モーニング・グローリー」でも、この国の人は全員オアシスの曲を歌えるんじゃないか?と思えるほどの大大大合唱。グラストはどのライヴでも必ずと言っていいほど合唱が起こっていたけど、僕が見た限りではリアムが最後にアカペラで歌った「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」が一番大きな大合唱だった。一番後方のベンチに立って辺りを見渡すと、ライヴを観ている人はもちろん通りがかった人から売店のスタッフまで、その場にいた全員がリアムの方を向いて歌っていた。

–>フォトレポート (The National)

フー・ファイターズ (Foo Fighters) @ ピラミッド・ステージ、グラストンバリー・フェスティヴァル 2017.06.24

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遂にフーファイがやってきた!
フォトレポート – フー・ファイターズ (Foo Fighters) @ ピラミッド・ステージ、グラストンバリー・フェスティヴァル 2017.06.24

Foo Fighters
Foo Fighters
Foo Fighters
Foo Fighters
Foo Fighters
Foo Fighters
Foo Fighters
Foo Fighters
Foo Fighters
Foo Fighters
Foo Fighters

 開演時間になるとギターを抱えて1人ステージに登場したデイヴ・グロール。自身の怪我によってキャンセルとなった2年前のグラストンバリーについて、代役としてヘッドライナーを務めたフローレンス・アンド・ザ・マシーンへの感謝を述べた後に、当時彼らがカバーした「タイムズ・ライク・ジーズ」を演奏するという何とも粋なスタートとなった。

 会場中を走り回ってシャウトし続けるデイヴにオーディエンスはもちろん、撮影していたカメラマンたちもえらく興奮していて、隣から後ろから撮影しながら大声で歌う声が聞こえくる。

 頭3曲の撮影が終わりプレス・テントに引き返している時も『おい見たか!最高じゃないか!アメージング!』と大柄なカメラマンが顔を赤くして声をかけてきた。 そう、レンズ越しに見るフーファイターズは本当に圧倒的な存在感なのだ。

 撮影後に会場の一番奥、丘の上まで行ってみると10万人以上収容できる会場が人でぎっしり埋まっていた。 無数の巨大な旗が掲げられ発煙筒も焚かれて、デイヴの一挙手一投足に大歓声が返ってくる。終始全員で大合唱し、最後には巨大な花火まで打ち上がり。

 これぞ皆が憧れるロックンロール・ショウをフーファイターズは見事にやってのけてくれた。

–>フォトレポート (King Gizzard & The Lizard Wizard)

ザ・ナショナル (The National) @ ピラミッド・ステージ、グラストンバリー・フェスティヴァル 2017.06.24

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ベテランが魅せる貫禄
フォトレポート – ザ・ナショナル (The National) @ ピラミッド・ステージ、グラストンバリー・フェスティヴァル 2017.06.24

The National
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The National
The National
The National
The National
The National
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 フー・ファイターズの前に出演したのはブルックリンを拠点に活動する5人組ロックバンド、ザ・ナショナル。日本ではなかなか観ることができないので、今回とても楽しみだったアーティストだ。

 壮大な演奏の中で基本的に呟くように歌うフロントマンのマット・バーニンガー。曲が盛り上がるにつれてシャウトする姿が渋くてとても男前。大人の色気とはこういうものかと思いながら撮っていた。他のメンバーもギターを掲げたりとだんだん動きが激しくなるが、どんなに動き回っても決して乱れる事はなく終始スマートで上品なところもまた、経験も年も重ねているからこその余裕を感じるのだった。

–>フォトレポート (Foo Fighters)

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